ゴロネ読書退屈日記

ゴロネ。読書ブログを目指している雑記ブログ。2人の息子とじゃれ合うことが趣味。

『アナログの逆襲』とノートのプレゼントの話

 

 

『アナログの逆襲』を読んだ。

 

アナログの逆襲: 「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる

アナログの逆襲: 「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる

 

 

本書では、デジタル技術が日進月歩の勢いで発展している現代で、アナログなモノや発想が、世界で再評価されている要因を徹底した取材に基づき読み解いている。アナログ好きであり、アナログの力を信じる僕は、本書の目次を読んだだけでもワクワクせずにはいられなかった。

 

 

【目次】

はじめに ポストデジタル経済へ

PARTI アナログな「モノ」の逆襲

第1章 レコードの逆襲

第2章 紙の逆襲

第3章 フイルムの逆襲

第4章 ボードゲームの逆襲

PARTII アナログな「発想」の逆襲

第5章 プリントの逆襲

第6章 リアル店舗の逆襲

第7章 仕事の逆襲

第8章 教育の逆襲

第9章 デジタルの先端にあるアナログ

おわりに 夏の逆襲

 

 

「第2章 紙の逆襲」では、ブランドノート「モレスキン」の成功と、フィジカルな「モノ」の代表である紙の強みについて書かれている。「ママ・モレスキン」と呼ばれるモレスキン社の中心人物であるマリア・セブレゴンディは感覚に重点に置くメソッドについて次のように語る。

 

「私がデザインで重視するのは、運動感覚的なアプローチです」

 

「私たち人間は、感覚によって肉体的な刺激を受ける必要がある。つまり、視覚、嗅覚、味覚、触覚、聴覚によってね」

 

「過去三〇年間で、デジタルの夢は現実になった。でも、それが素晴らしいことだけじゃないと私たちは気がついた。人間には、フィジカルなモノと経験が不可欠なの」

 

僕も一冊モレスキン・ノートを持ってる。3年前くらいに購入して、重宝している。新しい何かをここに書きつけるときは非常に心躍る。

 

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なぜかビッリマンの「スターウォーズ」シールを表紙に貼ってる。中に何を書いているかは秘密。

 

 

2 

 

文具好きの妻が以前から「アクセスノートブック」というノートを欲しがっていたので、ホワイトデーにプレゼントしてあげることにした。アクセスノートブックのことをネットで調べている内に、自分も欲しくなってきた。

 

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bungu-o.com

 

モレスキンに見た目は似ているが、様々な機能的な工夫が施されており、特に「目的のページに素早くアクセスする」という工夫に力が入れられている。早速、ホームページに掲載されている近所の取扱店にアクセスノートブックを探しに行ったが、どこに行っても置いていない。ホームページの情報が古いままなのではないか?

 

最近、欲しいモノはできるだけ実店舗で見つけようという信条があるのであるが、ホワイトデーが差し迫っていたので、結局、ネットで購入した。妻と僕の2人分。色もお揃いにした。一冊2570円、計5140円也。

 

 

 

近頃、読んだ本のタイトルや内容が思い出せないことが多い。音楽の場合もそうだ。音楽を聴いても、一度覚えたはずのタイトルやアーティスト名がなかなか出てこないのである。

 

もしかしたら、記憶に残らないのは、その作品との出会いに「物語」がないからではないかと僕は疑っている(単純に脳が老化してるだけなのかもしれないが)。働くようになってから店舗に探しに行くのが面倒で、気になった商品はすぐAmazonでポチっとしてしまう。で、数日で家に届く。今すぐ読みたい本は電子書籍で読めるし、大体の音楽はyoutubeで聴ける。

 

作品と出会うまでに間が空かないし、出会うのも容易になってしまったのである。つまり出会いまでの物語が発生しない。それゆえ、その作品に対する思い入れがそれほど生まれず、記憶に残りづらいのではないかと僕は推測しているのである。

 

そこで、何かを買うときはなるべく実店舗に足を運ぼうという決意をした(実店舗での偶然的な出会いにも期待している)。そして、本当に大切にしたいものは、デジタルではなく、アナログで所有しようと思った。

 

 

 

 

購入したばかりのアクセスノートブックは、来年度の仕事用のアイディアノートとして使おうと考えている。僕は何かを考えるときは基本、ノートを使っている。パソコン上よりもノートの方が想像力が高まる(気がする)。1年半続いているこのブログもまずノートに書き出してから、デジタルな記事にしている。

 

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ブログにするためのメモ。ひどい字である。

 

僕は昔からノートをきれいにまとめるのが苦手である。字も自分以外の人間には解読不能である。それでも自分が書き溜めたノートには愛着があり、なかなか捨てられない。

 

人のノートを見るのも結構好きである。人によってさまざまなノートの使い方やまとめ方があり、個性的で面白い。

 

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妻のモレスキンの、とあるページ。きれいにまとめられています。

 

 

 

ホワイトデーは、アクセスノートブックに加え、ホワイトチョコレートがふんだんに使われたケーキを妻にプレゼントしました。

 

すっかり春めいてきましたね。

平成の日本映画私的ベスト100[後編]

 


[前編]はこちら↓

gorone89.hatenablog.com

 

[後編]では、平成16年(2004年)以降から50本を選出します。

 

『誰も知らない』

誰も知らない [DVD]

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誰も知らない子供たちだけの生活。映画で描かれるネグレクトや児童虐待のニュースが頻発していますが、一部の親だけの問題ととらえるのではなく、子供たちを守るため、社会全体で問題意識を共有すべきです。

 

 下妻物語

下妻物語【Blu-ray】

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 深キョンのロリータ姿が最高!土屋アンナとの友情物語も見どころです。

 

 ハウルの動く城

ハウルの動く城 [DVD]

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公開時、僕は中学2年生でした。繰り返される退屈な日常にうんざりしていた中2病の僕は、新しい世界ではつらつと生きるソフィーにあこがれを抱いたのでした。

 

 フラガール

フラガールスタンダード・エディション [DVD]

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ハワイアンズ誕生物語。ラストのフラダンスショーは圧巻です。

 

 紀子の食卓

紀子の食卓 プレミアム・エディション [DVD]

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「レンタル家族」によって揺さぶられる既存の家族観……。鑑賞後一時間くらい落ち込みます。

 

カミュなんて知らない』 

カミュなんて知らない [DVD]

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6分40秒の長回しでトップシーンが始まります。この映画を見て、映画サークルにあこがれを持ちました。

 

 博士の愛した数式

博士の愛した数式 [DVD]

博士の愛した数式 [DVD]

 

高校の数学の時間に見せられました 。80分しか記憶が持たない天才数学博士と家政婦とその10歳の息子の交流が温かいです。

 

それでもボクはやってない』 

それでもボクはやってない スタンダード・エディション [DVD]

それでもボクはやってない スタンダード・エディション [DVD]

 

冤罪怖い。これを見て、混雑した電車内ではなるべく両手で吊革につかまるようになりました。

 

 トウキョウソナタ

トウキョウソナタ [DVD]

トウキョウソナタ [DVD]

 

家族がぞれぞれ抱える秘密ー。大学生のときにデート映画として見に行きましたが、鑑賞後しばらくお互い無言になったのが懐かしいです。

 

 『崖の上のポニョ

崖の上のポニョ [DVD]

崖の上のポニョ [DVD]

 

初鑑賞の時、波の上をポニョが走るシーンで震えたのを覚えています。波にのまれてしまった後の世界が美しく、おそろしい。

 

 『ぐるりのこと。』

ぐるりのこと。 [DVD]

ぐるりのこと。 [DVD]

 

生まれたばかりの子供の死を乗り越える夫婦の10年の軌跡。リリー・フランキーがいい味を出していて、予告編だけで泣けます。

 

おくりびと』 

おくりびと [DVD]

おくりびと [DVD]

 

第81回アカデミー賞外国語映画賞。納棺師の仕事を通じて、死生観について改めて考えさせられます。

 

 『サマーウォーズ

サマーウォーズ スタンダード・エディション [Blu-ray]

サマーウォーズ スタンダード・エディション [Blu-ray]

 

エンターテイメント作品として一級品です。仮想世界でのアバター同士の激しい戦いと、現実世界での大家族の温かい交流が巧みにマッチしています。

 

 のんちゃんのり弁

のんちゃんのり弁 [DVD]

のんちゃんのり弁 [DVD]

 

 『モーニング』で連載していた同名漫画を映画化。小巻役の小西真奈美がとにかくかわいい。

 

 ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』

ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ [DVD]

ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ [DVD]

 

太宰治原作、監督は『遠雷』の根岸吉太郎。大谷役の浅野忠信が非常にセクシーで、男の自分も彼に惚れました。

 

 愛のむきだし

愛のむきだし [DVD]

愛のむきだし [DVD]

 

盗撮、パンチラ、レズビアン、信仰宗教とやりたい放題。237分の上映時間ですが、最後までまったく飽きません。

 

 ヤッターマン

ヤッターマン “てんこ盛りDVD”

ヤッターマン “てんこ盛りDVD”

 

アニメと変わらぬ突き抜けたノリが良いです。深キョンドロンジョ様がたまりません。

 

 『悪人』

悪人 スタンダード・エディション [DVD]

悪人 スタンダード・エディション [DVD]

 

不幸な女性を演じさせたら、深津絵里はピカイチだと思います。同じ公開年の『告白』と賞を争いましたが、僕は断然こちらを推していました。

 

 『海炭市叙景

海炭市叙景 (通常版) [DVD]

海炭市叙景 (通常版) [DVD]

 

函館市を模した架空の北の地方都市「海炭市」 を舞台にした群像劇。ガスボンベで足の指で挟むシーンがあるのですが、見ているこっちも痛そうで泣きそうになります。

 

 『大鹿村騒動記』

大鹿村騒動記【DVD】

大鹿村騒動記【DVD】

 

人生のすばらしさを謳った心温まる喜劇。様々なトラブルが上手に収斂していくプロットが見事です。

 

『僕達急行 A列車行こう』 

僕達急行 A列車で行こう [DVD]

僕達急行 A列車で行こう [DVD]

 

森田芳光監督の遺作。『の・ようなもの』を彷彿とさせるのほほんとした雰囲気で、人生のしんどさがちょっと軽くなります。

 

 冷たい熱帯魚

冷たい熱帯魚 [DVD]

冷たい熱帯魚 [DVD]

 

個人的には園子温監督のベスト映画です。「透明にしちまえばいい」と次々と人を消していくでんでんが怖すぎます。

 

『サウダーヂ』

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在日外国人ひしめく地方都市のリアル。ラッパー役の田我流がいい味出してます。ソフト化されていないのが残念。

 

『かぞくのくに』

かぞくのくに [DVD]

かぞくのくに [DVD]

 

北朝鮮から25年ぶりに日本に帰ってきた兄。近い二つの国の遠さを実感します。

 

 『桐島、部活やめるってよ

桐島、部活やめるってよ(DVD2枚組)

桐島、部活やめるってよ(DVD2枚組)

 

朝井リョウのベストセラー青春小説を見事に映像化。学生時代どのスクールカーストに所属していたかで映画の見方が変わります。

 

 『ももいろそらを』

ももいろそらを [DVD]

ももいろそらを [DVD]

 

「バカ」 を連発する口の悪い女子高生がいいキャラしてる。彼女の趣味は新聞記事の採点。こんな高校生と友達になりたかった。

 

『ぼっちゃん』 

ぼっちゃん [DVD]

ぼっちゃん [DVD]

 

 秋葉原連続殺傷事件にインスパイアされた映画。孤独が人を狂わせる。

 

 風立ちぬ

風立ちぬ [DVD]

風立ちぬ [DVD]

 

これを見ると仕事を一生懸命やろうという気分になります。結果がどうなるにせよ、何かに熱中できる人間はやっぱり魅力的です。

 

ペコロスの母に会いに行く』 

ペコロスの母に会いに行く 通常版 [DVD]

ペコロスの母に会いに行く 通常版 [DVD]

 

自費出版のベストセラーエッセイを映画化。ボケた母とハゲた息子の交流が微笑ましいです。

 

 『かぐや姫の物語

かぐや姫の物語 [DVD]

かぐや姫の物語 [DVD]

 

高畑勲監督の遺作。映像表現、物語ともに全てが美しいです。

 

 『ほとりの朔子』

ほとりの朔子 [DVD]

ほとりの朔子 [DVD]

 

二階堂ふみと僕は誕生日が同じです(だから何だ)。汚らしい大人たちが何人が出てくるので、少年少女の淡い恋が際立って輝いて見えます。

 

 『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』

林業の世界に飛び込む青年の成長物語。所々で笑え、特にラストの祭りのフィナーレが爆笑でした。

 

『FORMA』

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坂本あゆみ監督、衝撃のデビュー作。人間関係や人物像が明らかになっていくにつれ、恐ろしさが増してゆき、最後の長回しでは息が止まりそうになります。これもソフト化していません。

 

『百円の恋』

百円の恋 [DVD]

百円の恋 [DVD]

 

 『レイジング・ブル』のロバート・デ・ニーロとは逆で、安藤サクラがダルダルのぽっちゃり体型から、一気にボクシング体型になっていく過程には鳥肌が立ちます。ボクシング映画の歴史に刻まれる、新たな名作です。

 

 0.5ミリ

0.5ミリ [DVD]

0.5ミリ [DVD]

 

押しかけヘルパー物語。『百円の恋』 とはまた違った安藤サクラの魅力が発揮されています。ここ10年くらいの日本映画界での安藤サクラの活躍はすごいです。

 

 『恋人たち』

恋人たち [DVD]

恋人たち [DVD]

 様々な苦しみを抱えた恋人たち。妻を失った男の慟哭に涙せずにはいられません。

 

海街diary

ほんとこの美人4姉妹と一緒の街に暮らしたい。身近な人をもっと愛したくなる映画です。

 

 『野火』

野火 [DVD]

野火 [DVD]

 

きっとリアルな戦場てこんなんだろうなあ。おどろおどろしい映像表現は脳みそにこびりつき、夢にも出てきました。

 

 『岸辺の旅』

岸辺の旅 [DVD]

岸辺の旅 [DVD]

 

幽霊の夫と一緒に旅して出会う様々な人々。どこか会話がちぐはぐで、不思議な気分になります。

 

 『シン・ゴジラ

シン・ゴジラ DVD2枚組

シン・ゴジラ DVD2枚組

 

大災害が都心にやってきたときのシミュレーション。政治ドラマに徹しているのが素晴らしく、日本の政治機構の欠点と利点が浮き彫りにされます。

 

『淵に立つ』 

淵に立つ(通常版)[DVD]

淵に立つ(通常版)[DVD]

 

刑務所帰りの男を演じる浅野忠信がほんとに怖い。淵に立つ赤シャツの浅野は悪魔のよう。

 

この世界の片隅に 

この世界の片隅に [DVD]
 

何度見ても泣けます。こういう普通のいい子が何人も心と体に取り返しのつかない傷を負ったのです。戦争はいけません。

 

 『I Am A Hero』

日本のゾンビ映画もここまで来たか!と感動。ゾンビの表情、動き、なにもかもが気持ち悪い!

 

 『君の名は。

空前の大ヒットアニメ映画。 黄昏時に2つの世界が重なり、ついに少年少女が出会う場面では感動でちびりそうになるほど震えました。

 

 『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ

日雇い労働者の男と看護士で夜はガールズバーで働く女が出会い、お互いに少しずつ惹かれていく。セリフが詩的で、なんども見たくなります。

 

 あゝ、荒野

あゝ、荒野 (特装版) DVD-BOX

あゝ、荒野 (特装版) DVD-BOX

 

寺山修司原作。吃音のボクサーの必死な闘いを応援せずにはいられません。結末は悲しすぎます。

 

『花筐/HANAGATAMI』 

花筐/HANAGATAMI [DVD]

花筐/HANAGATAMI [DVD]

 

大林宣彦が『HOUSE』より以前に書いていた脚本を映画化。唯一無二の独特の映像表現によって反戦への強い思いを伝えています。

 

 『孤狼の血

孤狼の血 [DVD]

孤狼の血 [DVD]

 

登場人物一人ひとりのクセが強いですが、特に役所広司演じる暴力団係の刑事の迫力がすごい。『仁義なき戦い』 を彷彿とさせるナレーションの挿入にシビれました。

 

 カメラを止めるな!

カメラを止めるな!  [DVD]

カメラを止めるな! [DVD]

 

単館発の大ヒット作。1本の映画で様々な映画体験ができ、鑑賞後に幸せな気分になれます。

 

万引き家族

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平成最後の傑作。是枝裕和監督は震災以後に強調されるようになった「絆」という言葉に疑問を持ち本作を撮ったそうな。思えば、平成という時代は、「絆」という言葉を声高に叫ばないと維持ができないほど、人々の関係性が脆弱になってしまった時代なのかもしれません。

 

 

大学時代にかなり劇場に足を運んでいたので、その頃に見た映画はどれ選出するか悩みました。幼い子どもがいるのでなかなか映画が見れなくなりましたが、平成以後の時代もできる限り積極的に新しい日本映画を鑑賞していきたいです。

 

 

 

 

 

妻とのディナーの話

 

先日第2子が産まれ、母子は現在入院中。僕が仕事の間、福井にある妻の実家から来てもらった義母が1歳の長男・ハルタの面倒を見ている。僕はなるべく早く仕事を切り上げ産院に行き、妻と生後間もない次男の顔を見る。そして、家に帰り、ハルタを風呂に入れ、寝かしつけるのである。

 

ハルタが寝てしまうと暇である。いつもハルタが寝た後は妻とおしゃべりしてるからなあ。さびしい。僕はパソコンを開け、久しぶりにAmazonで書籍のお買いものをすることにした。昨夜買ったのは、以下の3冊。

 

アナログの逆襲: 「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる

アナログの逆襲: 「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる

 

 

社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像

社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像

 

 

パワー

パワー

 

 

小説『パワー』のあらすじがとても魅力的である。早く読みたい。

 

ある日を境に、女たちが、手から強力な電流を発する力を得る。最年少かつ、最強の力を持つ14歳の少女ロクシーは母を殺された復讐を誓い、市長マーゴットは政界進出を狙い、里親に虐待されていたアリーは「声」に導かれ、修道院に潜伏する。そして、世界中で女性たちの反逆がはじまった―。 (「BOOK」データベースより)

 

妻がいないので、ベランダで、久しぶりににタバコを吸ってみた。それほどうまくない。

 

 

吸いさしの煙草で北を指すときの北暗ければ望郷ならず (寺山修司

 

 

 

妻は理科の教員である。彼女とは一時期職場が同じで、職員室での席が隣だった。付き合う前から、席が隣なので二人でよくさまざまなおしゃべりをしていた。僕はかなり理数科目が弱く、理科の知識を彼女に教えてもらったりもした。僕は彼女の授業に対する熱意をリスペクトしていた。

 

ある日彼女は大量の煮干しを職場に持ってきた。何に使うのかと思ったら、彼女はそれを生徒に授業で解体させ、臓器の一つ一つをテープでレポートに貼らせ、魚の体の仕組みをまとめさせていたのである。彼女は回収したレポートを評価しながら、「くせえ」とつぶやいていた。

 

このとき、僕は「面白い。この人と付き合おう」と決意したのである。恋愛に対して自身はかなり奥手であると自覚しているが、このときは自分でも驚くほど積極的にアプローチをした。

 

そしてなんとか交際に至った。交際間もなく、僕は彼女に「結婚したい」と言った。彼女はその言葉を冗談だと受け取っていたらしく、最初のころ、僕のその思いは適当にあしらわれてしまっていたのである。

 

 

 

今日の仕事帰りも妻のいる産院に寄った。明日妻と次男は退院する。この産院では、退院の前夜に祝い膳が出され、これは夫も食べることができる。次男を看護師に預け、妻と祝い膳を味わって食べた。久しぶりの二人きりでの食事である。

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メイン料理は牛ヒレ肉ステーキ

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デザート

僕らは、赤ん坊のこと、妻の体調のこと、僕の仕事での出来事のこと、これからの家のことなどをしゃべった。彼女と話しているときがいちばん楽しいし、心休まる。「あと一年で育休が明けるから、仕事の準備もしなくちゃね」と僕は言った。大好きな仕事から一旦離脱させてしまって、妻には大変申し訳ないことをした。

 

ハルタを家に待たせているので、それほど長く妻と一緒にいるわけにはいかず、明日の退院の打ち合わせをすませ、僕は家に帰った。

 

 

結婚して2年と少し経ったが、今でも妻のことがとても好きである。明日彼女が帰ってくるのが楽しみだなあ。

 

 

 

第2子が産まれた話

本日(2019年2月23日)、14時27分、第2子が産まれました。

 

今これは自宅でパソコンに向かって書いています。隣の部屋で1歳の長男は「スーピー」と寝息を立てている。妻と第2子は入院中。

 

今日は目まぐるしい一日だった。出産予定日を過ぎて2日目の今日、昼になり、自宅で妻の陣痛が始まった。自宅はマンションの5階。妻の体を支え下まで降り、なんとか車に乗せ、産院へ。

 

産院に着くとそのまま分娩室に入った。子宮口が開いているとのことで、お産に突入。妻のうめき声は大きくなる。先日読んだ『82年生まれ、キム・ジヨン』にあった「レゴの人形の胴体の足をつかんで逆方向に回してはずそうとしているような、腰がねじれそうな痛み」という強烈な比喩が僕の頭に浮かんだ。

 

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

 

 

分娩室に入って1時間半で男の子を出産。妻、本当によく頑張りました、感謝です。母子ともに健康。第2子の体重は3490グラム。まだ新しい家族が増えた実感がわきませんが、またこれから二人の息子の育児に精を出していきたいです。

 

父である僕は平成の始まりの平成元年生まれで、新しい息子は平成の終わりの平成31年生まれ。……だから何だという感じですが。

 

そして、2月23日は皇太子と同じ誕生日。来年から祝日です。

 

 

息子にインフルエンザをうつした話

 

インフルエンザになった自身を密室に隔離したが、家庭内別居の努力など時すでに遅く、一昨日の夜、1歳10ヶ月の息子ハルタが高熱を出した。

 

お医者さんに電話して指示を仰ぎ、昨年12月にハルタが熱性けいれんになったときにいただいた熱を下げる座薬をハルタの肛門にインした。座薬は効き、熱は引き、ハルタはぐっすりと眠れた様子。幼児のインフルエンザ脳症の情報をネットで過剰に摂取した僕は自責の念と不安で少々鬱っぽい気分になり、次の日朝一でハルタを病院へ連れて行った。

 

病院の小児科はインフルエンザの子どもで激こみギュウギュウ丸かと予想していたが、意外と空いており、受付を済ますとすぐに診察を受けることができた。小児科の先生は少々チャラ男っぽい若い先生で耳にはピアスの穴が認められた。おそらく僕と同世代。

 

「保育園も行ってなくて、パパさんがインフルなら、確実にハルタくんもインフルっすよ。インフルかどうかの検査も必要ありません。タミフル出しときますね。今日はママさんは?」とその先生。妻は妊婦でもうお腹がかなり大きいので家に置いてきた、もう少しで出産予定日だと説明する。「じゃあ、今度はママさんにうつしちゃまずいですね。もう胎児には影響ないだろうけど、お産のときに熱が出たらママさん可哀想だから」

 

お礼を言い、処方箋をもらってハルタと薬局に行った。薬を待つ間、ハルタに『アンパンマン』の絵本を読んでやった。そのときだった。……ブリブリブリッ!! ハルタは大量のウンチをした。

 

 

 

今度は妻が隔離される番であった。

 

先日までハルタは妻と生活していたのだが、今度は僕と生活することに。ママと離れ離れになり泣き叫ぶハルタ。しばらくお別れ。インフル同士仲良くやろうぜ。

 

ハルタは泣き疲れと、薬の効果があったのだろうかすぐに寝てしまった。ハルタが寝ている間、角田光代訳『源氏物語』の「須磨」の章を、原文と比べながら読んだ。『源氏物語』冒頭の巻は「桐壺」であるが、実はこの「須磨」の巻から起筆されたという伝承が記録されてるそうな。

 

 

「須磨」では、宮中にいられなくなった源氏の須磨行きを多くの人が嘆き悲しむ。領地や財産をすべて託された紫の上。彼女は心細かったろう。思えば、彼女は源氏にほとんど誘拐されるように宮中にやってきたのである。源氏がいなくなれば、宮中では孤独そのものだ。

 

生ける世の別れを知らで契りつつ命を人に限りけるかな

(生き別れることがあるなどとは思いもせず、命ある限りは別れまいとあなたに幾度も約束しましたね)

 

と紫の上に源氏。

 

惜しからぬ命にかへて目の前の別れをしばしとどめてしがな

(もはや少しも惜しくないこの命にかえて、今この別れを、ほんの少しでも引き止めておきたい)

 

と応える紫の上。彼女はきっと永遠の別れになるのではないかと絶望していたことでしょう。

 

 

 

今日になってすっかり息子の熱は下がり、元気になった。ただ、まだ菌を保有しているので、妻と触れ合わせることはできない。

 

今日は妻がかかりつけの産院に検診に行く日であった。僕の実家の母親が、病院に行く彼女に連れ添った。僕はハルタとお留守番。一緒に『アンパンマン』のDVDを見たり、ブロック遊びをしたりした。

 

2時間ほどして、妻が帰ってきた。食料の入った袋を抱えている。

 

「お義母さんが『「妊婦がいるのに、インフルエンザ持ち込みやがって。くたばれ」って伝えといて』って言ってたよ」と妻。

 

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現在奥の部屋から妻の咳が聞こえる。……出産予定日まであと6日。

『トロッコ』(芥川龍之介)の話

 

「このやろう! 誰に断ってトロに触った?」

 

 

 

インフルエンザになり出勤停止になったのであるが、どうしても今週中に終わらせなければならない仕事があり、上司に「その仕事を会社に取りに行ってもいいですか?」と連絡したが、やっぱり「ダメ」と言われてしまった。しょうがないと諦めたが、その後、先輩から電話。「おれが家まで届けてやるよ」

 

本当にいつもこの先輩にはお世話になってます。いつもなめた口きいてすみません。その先輩は仕事を家まで届けてくれた上に、お見舞いに、飲み物や食べ物も届けてくれたのである。泣けるで。

 

お茶、ポカリスエット、アイス、そして、小田原のみかん……。みかんは温暖な小田原の名産である。みかん大好き。

 

 

 

芥川龍之介の短編小説、『トロッコ』を読んだ。

 

トロッコ・一塊の土 (角川文庫)

トロッコ・一塊の土 (角川文庫)

 

 

小説の舞台は、神奈川にある小田原と静岡にある熱海をつなぐ軽便鉄道(熱海鉄道)の敷設工事の現場である。熱海鉄道といえば、前身である豆相(ずそう)人車鉄道が有名。豆相人車鉄道では、車両を人力で押していた(急な山道では、車両を押すのを乗客に手伝わせていたそうだ)。

 

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Wikipediaより

軽便鉄道である熱海鉄道が敷設されたのは、1908(明治41)年であるから、小説の設定時代はこのしばらく前である。主人公の少年、良平は土木工事に使われるトロッコに乗ることやトロッコを押すことにあこがれがあり、毎日村外れへ工事を見物に行った。

 

2月初旬のある夕方、良平はトロッコにひそかに乗り有頂天になる。しかし、麦わら帽の土工に見つかり、「このやろう!」と怒鳴られてしまう。それから10日あまり経ってから、親しみやすそうな若い2人組の土工を見つけた良平は、彼らに声をかけ、一緒にトロッコを押したり乗ったりして、熱海方面に向けて進みことになるのだった。良平のあこがれの実現である。

 

ロッコと進む良平の両隣りに、日を受けたみかん畑が現れる。みかんは、明るさ、暖かさ、ぬくもりの象徴である。情景描写から、良平の胸の高まりが伝わってくる。

 

『トロッコ』は登場人物や語り手の気持ちを想像するのに、情景描写を手がかりにしやすい小説である。

 

 

 

ロッコと一緒に意気揚々と進んできた良平であったが……

 

今度は高い崖の向こうに、広々と薄ら寒い海が開けた。と同時に良平の頭には、あまりに遠く来すぎたことが、急にはっきりと感じられた。

 

広々と薄ら寒い海……。ワクワク感から一転、この情景から、良平の心の内から寂しさ、心細さ、孤独感がじわじわと広がっていることがわかる。

 

結局、良平は若い土工たちから「帰れ」と言われてしまい、あっけにとられ、泣きそうになってしまう。絶望へと落ち込む良平。彼は命さえ助かればと、暗くなる道を無我夢中で家に向かって走り続ける。そしてやっと自分の村に帰ってきた良平は、家に駆け込み大声で泣くのであった。不安からの解放である。

 

 

よく考えると、良平にとって本当に優しい土工は、親しみやすい若い2人組の土工ではなく、怒鳴ってくれた麦わら帽の土工だったのかもしれない。ちゃんと叱ってくれる大人もやっぱり必要ですね。

 

小説には、麦わら帽の土工について、「ただそのときの土工の姿は、今でも良平の頭のどこかに、はっきりした記憶を残している。」とある。……「今」とは?

 

 

 

小説の最後に、「今」の良平について書かれている。

 

   良平は二十六の年、妻子と一緒に東京へ出てきた。今ではある雑誌社の二階に、校正の朱筆を握っている。が、彼はどうかすると、全然なんの理由もないのに、そのときの彼を思い出すことがある。全然なんの理由もないのに?ー塵労に疲れた彼の前には今でもやはりそのときのように、薄暗いやぶや坂のある道が、細々と一筋断続している。…………

 

妻子とともに上京したものの、生活のために校正係をしている「今」の疲労感と、どこにたどり着くのかわからない少年の日の不安感を、良平は無意識のうちに重ね合わせているのである。

 

 

良平のモデルは、芥川龍之介の熱心なファンで、芥川との親交も深かった力石平蔵という人物である。平蔵は芥川の世話で出版社に勤務し、校正係として働いていた。夢は小説家だったらしい。

 

彼の出身地はかつて軽便鉄道が通っていた湯河原吉浜である。『トロッコ』は、子供時代の思い出を書いた平蔵の原稿を、芥川が大幅に手直しして出来上がった作品なんだそうな。 

 

 

 

思いがけぬ9連休と『おどろきの中国』の話

 

妻の出産予定日が1週間後に迫っている。出産直後のサポートに、福井にいる義母が来てくれるというので、3連休は、物置と化してる部屋を片付け、義母が泊まれる場所をつくった。

 

この連休は何の用事も仕事も入れず、掃除、洗濯、食器洗い、買い物などひたすら家事に努めた。1歳10ヶ月の息子・ハルタを近くの公園に連れて行ったりもした。ハルタは最近滑り台にはまっていて、同じ滑り台を35回くらい滑らないと気が済まない。

 

祝日の月曜日の朝方から、鼻水が止まらず、くしゃみが何度も出るようになった。「あー、花粉症だわー、つらい」と僕は思った。

 

その内、頭痛もするようになった。「あー、花粉症だわー、つらい」と僕は思った。

 

その内、寒気を感じるようになり、体がだるくなり、関節が痛み始めた。「あー、花粉症だわー、つらい」と僕は思った。

 

夜は苦しく、全然眠れなかった。火曜の朝、体温を計ると37.6度あった。「こりゃ花粉症じゃなくて、熱だわ!」とこの時初めて気づき、近所の病院に行き、診察を受けた。鼻に棒を突っ込まれた。

 

「インフルエンザA型ですね」とお医者さんは言った。

 

 

 

現在、義母のために整理した部屋に引きこもっている。妊婦の妻と幼いハルタにインフルエンザをうつすわけにはいかない。(3連休中の自身の不用心さのため、もう手遅れかもしれないが。……強い罪悪感)

 

熱は下がったが、菌を保有しているので、会社は今週中は、出勤停止である。ということはつまり、この前の土曜日から数えると、土、日、月、火、水、木、金、土、日……9連休ではないか。今の会社に勤め始めてから、こんなに休むのは初めてのことである。この思いがけずにできた休みを有効活用するにはどうすればよいだろうか?

 

思いつかないので、とりあえず新聞を隅々まで読むことにした。

 

 

 

大学生のときには毎朝新聞に目を通していたけど、今は忙しさを理由にほとんど読まなくなった。ニュースに触れるのはネットとラジオばかり。

 

コンビニで「毎日新聞」を購入した。経済面を開くと、中国関連の記事ばかりである。

 

ここ20年くらいの中国の経済的躍進は凄まじい。アメリカと肩を並べる覇権国家になったと言っても過言ではないだろう。米中は現在貿易戦争の真っ只中であるが、もはや互いは最大のライバルでありながら最大のパートナーであり、世界を牽引する運命共同体である。日本は蚊帳の外。アメリカへの愛は片思いに過ぎない。

 

3連休に講談社現代新書の『おどろきの中国』を読んだ。

 

おどろきの中国 (講談社現代新書)

おどろきの中国 (講談社現代新書)

 

 

社会学者のビッグネームである、橋爪大三郎大澤真幸宮台真司が中国という国について熱く語っている。これがめちゃくちゃ面白い。中国人の物の見方、考え方、中国社会のあり方が様々な方面から分かりやすく語られていて、それと同時に、日本の国際政治の問題点が浮き彫りになっていくのである。

 

正直僕は中国に少々偏見を抱いてたが、これを読んで、中国をリスペクトしたい気持ちが芽生えた。問題点は多くあるものの、その徹底して個人主義的で合理主義的でプラグマティックなところは日本人が参考にすべきところだと思う。そもそも僕たちの文化は中国の影響を受けながら成り立ったのだ。

 

3人の社会学者が日本が今後国際社会の中でとるべ針路について語っているところは非常に勉強になった。彼らは日本は米中の「媒介者」であるべきと語る。

 

大澤    たしかにそうですね。いまのところは、米中が基本的には対立しているというこてから、漁夫の利を得ているというのが日本のポジションだと思うんですよ。でも、それはやっぱりあまりにも情けない。AくんとBくんが喧嘩しているかぎりで、おれは大事にされているだけ。AとBが仲良くなったら、お前なんていらないと言われてしまう。

宮台    それは漁夫の利というより、死刑執行の猶予期間みたいなものだよね。

大澤     そう。だから、非常に情けないし、実際、長いトレンドで見たら、AくんとBくんは仲良くしようという強い志向性をもっているときに、仲良くなったらお前はいらないと言われるようではまずい。

    そうすると一つの生きる道は、AくんがBくんと仲良くするに当たっては、Cくんともとっても仲良くなってしまうんだ、あるいはCくんと仲良くなれば、Bくんと余計仲良くできるんだという状況をつくることですよね。

    ほんとうは、中国を理解するということに関しては、日本人のほうが、アメリカ人よりはるかにアドバンテージがあるはずなんです。だって、日本の文化は中国に影響されながら今日まできたわけだし、文字だって、かなり共有しているわけだし。一般人のレベルで言っても、アメリカ人が中国の歴史について知っている量と、日本人の高校生ぐらいが知っていることを比べれば、日本人のほうが上でしょう。

    日本はそういう意味で有利な立場にあるわけですから、中国との関係において、アメリカがまず仲良くしなければいけないのは日本なんだという構造をつくることが、いま重要だと思いますね。

橋爪   そうなんですよ。

    でね、さっき、香港と台湾が中国のインターフェイスになったと言ったけど、香港と台湾はやっぱり中国寄りなんです。だから日本が、中国のインターフェイスになればいい。

 

日本の国際社会でのポジションの確保は、偏見を持たず、中国のことをちゃんと理解するという姿勢にかかっているのである。

 

 

 

さて、部屋に引きこもりながらできる時間の有効活用の方法を誰か教えてください。やっぱり読書で終わっちゃうのかなあ。