ゴロネ読書退屈日記

ゴロネ。読書ブログを目指している雑記ブログ。2人の息子とじゃれ合うことが趣味。

戦後74年目の夏、映画『東京裁判 4Kデジタルリマスター版』を見て

 

ドキュメンタリー映画東京裁判 4Kデジタルリマスター版』が現在映画館で公開中なので、見に行った。

 

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監督は小林正樹。『人間の條件』六部作(59~61年)、『切腹』(62年)、『怪談』(65)などの小林監督作品は見たことがあったが、この『東京裁判』は初鑑賞である。『4Kデジタルリマスター版』は、1984年に公開された『東京裁判』をデジタル処理で映像・音響ともにブラッシュアップしたものである。

 

上映時間は、4時間37分! 上映時間の長さに不安もあったが、そんな不安を吹き飛ばすほどの濃い映画で、最初から最後まで映画にくぎづけになった(おしりは痛くなりました)。これは映画館で見るべき映画である。

 

映画は、1945年8月に降伏した日本の戦後の運命を決定づけた極東国際軍事裁判、いわゆる東京裁判の全貌を描く。

 

 

 

東京裁判』を見て、改めて、映像というメディアの強力さがわかった。かつて日本で戦争があったということは学校でも習ったし、戦争を体験した人の話を聞いたりして、もちろん事実であることは認識しているのであるが、それは遠い昔のことで、自分とは無関係なことだという意識がどこかにあった。

 

しかし、『東京裁判』を見ることで、一気に戦争があった「あの時代」と僕が生きる「今」が直結した感覚になった。東條英機など写真でしか見たことがなかった東京裁判に関わる人の、表情、肉声、息遣い、動作によって、彼らが私たちと変わらない生身の人間として立ち現われてくる。

 

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東條英機

 

映画で流れる資料は東京裁判のものだけではない。東京裁判の進行の各段階に合わせて、日清戦争日露戦争張作霖爆殺事件、満州事変、盧溝橋事件、日中戦争真珠湾攻撃、太平洋戦争などの写真や映像資料が流れ、日本とそれをとりまく世界の戦争の全体像が見渡せるようになっている。

 

映画は、1945年7月26日、連合国のアメリカ・イギリス・中国が、第二次世界大戦終結させるべく、日本への降伏要求である「ポツダム宣言」を発表するところから始まる。日本がこれを「黙殺」しているうちに、8月6日に広島、9日に長崎に原子爆弾が落とされてしまう。ついに日本はポツダム宣言を受諾し、全面降伏の旨を天皇自身の声で国民に公表する。玉音放送である。

 

玉音放送は映画の中で、明瞭な音声で、そして字幕つきですべて流される。「耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び」の部分しか知らなかった僕にはこれだけでも映画を見に来た価値があったと思った。玉音放送は、太平洋戦争の激しく悲惨な戦闘の映像とともに流れ、もの悲しくなり、戦争で散っていた多くの命について考えずにはいられなかった。

 

 

 

1946年5月3日、連合国軍最高司令官マッカーサー元帥が「戦争犯罪人の処罰」を目的に主導にした、東京裁判が東京・市ヶ谷で開始される。

 

被告は東條英機以下28名。開始の直前で、ポツダム宣言に調印した重光葵梅津美治郎が入れられ、阿部信行と真崎甚三郎が外される。被告の数を30名にすればいいところを、わざわざ28名にしたのは、被告席が28しかないのが理由だという。……そんなのアリ? 杜撰すぎるだろ! 被告の選定をはじめ、裁判の杜撰さは、たとえば、満州事変を企図しながらも、被告のメンバーに入っていない石原莞爾の「自分が裁かれないのはおかしい」という発言などでも強調される。

 

起訴状の朗読が行われた第一日目は、被告の一人で超国家主義者の大川周明が目の前に座る東條英機の頭を手のひらで「ぺチン」と叩くのがハイライト。振り返り、苦笑いする東條。初日から異様さを醸し出している裁判である。

 

裁判の初めの段階での、被告の弁護人であるジョージ・A・ファーナスとベン・ブルース・ブレイクニーの発言には驚かされたし、正直感動さえ覚えた。彼らは連合国側であるアメリカ人である。しかし、彼らは法倫理にしたがって、まずファーナスが「公平な裁判を行うならば、戦争に関係ない中立国の代表によって行われるべきである。勝者による敗者の裁判は決して公平ではない」と発言。さらにブレイクニーが「キット提督の死が真珠湾攻撃による殺人罪になるなら、我々は広島に原爆を投下した者の名を挙げることができる」、「原爆を投下した者がいる、この投下を計画し、その実行を命じ、それを黙認した者がいる。その人たちが裁いている」と発言し、裁判の存立根拠を問うのである。これらの発言は裁判の速記録では省かれているらしい。映画でしか知りえない事実である。

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ベン・ブルース・ブレイクニー

 

その後の裁判でも、検事、判事、証人、弁護人、被告から、興味深く、また驚嘆する発言が次々と飛び出し、戦争の全体像と戦争が生み出す人間の狂気の姿が見えてくる。天皇の戦争責任を追及しようとするオーストラリア人のウエッブ裁判長と、天皇の免責を企図するマッカーサーの命を受けたキーナン検事の攻防も見物である。

 

 

 

ドキュメンタリー映画と言えど、どうしても製作者の主観が入らざるを得ないが、この『東京裁判』では、できるだけ客観的に、中立的にあろうとする製作者の真摯な姿勢がうかがえる。

 

たとえば、「パル判決書」という膨大な意見書の紹介場面である。東京裁判の判事の一人で、インド人のラダ・ビノード・パルは、この意見書の中で、この東京裁判そのものの違法性と非合理性を指摘し、被告の全員無罪を主張する。この事実の紹介だけでは、絞首刑になった東條英機の「日本の戦争は侵略戦争ではなかった」という主張に観客は傾いてしまいそうだが、その意見書の中には「だからといって、被告たちとおよび日本国の行動を正当化する必要はない」と記されいたときちんと紹介する。

 

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ラダ・ビノード・パル

 

映画はこの中立性をできるだけ保ちながら、事実だけを写し、語り、「東京裁判」を中心とした戦争の全体像を描こうとする。これを見て、あの時代から続く、日本や世界のはらむ問題をどのように捉え、考え、意見を持つかは観客にゆだねられているのである。

 

僕は『東京裁判』を見ておいて、本当に良かったと思った。事実を知らなければ語れないことが多すぎる。現在の世界情勢、日本の国内政治、国際関係の状況、不安、軋轢、乱れ、矛盾はすべてあの東京裁判につながっている。東京裁判を知ることなしに、今を理解することはほぼ不可能だ。『東京裁判』を見て、僕たちはあの戦争とその犠牲の上に立っていることを自覚し、平和を努力で自分のため、そして自分の大事な人のために獲得していかなければならないという意識を持つことができた。

 

明治、大正、昭和、平成、そして令和を大きな物語としてつなぐ『東京裁判 4Kデジタルリマスター版』を映画館で見れるのは今だけである。必見です!!

中国発SF小説『三体』が面白すぎる

 

近頃、夜になると、ベランダに出て空を見上げている。夏の夜空に輝く幾千の星。デネブ、アルタイル、ベガを結んで、夏の大三角形を作ってみる。

 

夜空を眺めていると様々な想像に駆られる。子供のころの僕は、映画の『未知との遭遇』、『E.T.』、『スターウォーズ』、『メン・イン・ブラック』などの影響で、宇宙人の存在を固く信じていて、彼らとなんとか交信できないかと考えていた。この広大な宇宙の彼方に必ず、未知の文明、未知の感覚を持った知的生命体がいるはず……。

 

僕がこれほど宇宙人を求めているのだから、逆に言えば、僕を求めている宇宙人もどこかにいるはずである。地球人代表として、最初に宇宙人と親交を結ぶ人間は僕でありたい。ああ、宇宙はなんてロマンに満ちているんだ!

 

夜空を見上げ、この頃またそんな妄想に浸るようになったのは、SF小説『三体』を読んだことが原因であることに間違いない。

 

 

 

三体

三体

 

 

『三体』、全力でオススメしたい。超超超面白い!

 

作者は中国山西省陽泉生まれの劉慈欣(リウ・ツーシン)。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短編を執筆している。訳者の大森望のあとがきにあったが、劉は少年時代の貧困や、宇宙に魅せられた経験などが自身のSFの基盤となっていると言っているそうだ。

 

『三体』は、2006年から中国のSF雑誌に連載され、単行本として刊行されるや、たちまち人気が爆発。英訳版は、SF最大の賞であるヒューゴー賞を受賞。これは、翻訳書として、そしてアジア人作家として初めての快挙である。オバマ前大統領も本書を絶賛しているらしい。

 

さて、この『三体』、どういった物語なのか簡単に紹介していきたい。

 

 

 

いきなりネタバレするが、本書のテーマは、宇宙人とのファーストコンタクトである。ファーストコンタクトを描いたSFは数多あるが、『三体』には、ほかのどのSFとも違う、話の展開の群を抜いた面白さとオリジナリティがある。

 

話は文化大革命の時代から始まる。科学者で主人公の葉文潔(イエ・ウェンジエ)は、この革命の内ゲバで物理学者の父を惨殺される。いきなり実録調で、リアルな恐ろしさがあり、びっくりする。これはSFなのか? いったい何がこれから起こるのか? と読者は物語に引きずり込まれる。

 

失意の中にある葉文潔は、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』に心惹かれる。父を殺された経験と、『沈黙の春』の殺虫剤によって死にゆく村の描写は、彼女の人間観に大きな影響を及ぼし、後に全人類を滅亡の危険にさらす行動へと彼女を駆り立てることになる。

 

 四十数年後、文潔は人生最期のとき、『沈黙の春』が自分の人生に与えた影響を振り返ることになる。この本に出会う前から、若い文潔の心には、一生治ることのない大きく深い傷が、人類の悪によって刻まれていた。しかし、この本に出会ってはじめて、文潔は人類の悪に対して理性的に考えるようになる。

 

成長した葉文潔は、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、ある極秘プロジェクトが進んでいた。そのプロジェクトこそ、SETI(地球外知的生命探査計画)である。(く~、たまらん!)

 

そして、物語の舞台は四十数年後に移る。この物語のもう一人の主人公、ナノテク素材の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体への潜入を引き受けた彼を、科学的にはありえない怪現象が襲う。

 

汪淼の眼前に汪淼にしか見えない数字が表れるのである。その数字は漸減していく。カウントダウンである! 一体何のカウントダウンなのか? 0になると何が起こるのか? 恐れ、パニックになる汪淼。僕はこのあたりから、物語に没入し、食事も睡眠も仕事も忘れ、夢中で本書を読み進めた。

 

そして、汪淼は、不思議なVRゲーム「三体」にのめり込む……。

 

 

 

警察官の史強(シー・チアン)をはじめとした魅力的でクセの強い登場人物たち、興奮が止むことのないストーリーの高いエンターテイメント性、それを支える科学の知識と中国の激動の現代史。小説『三体』のどこが面白いかと聞かれれば、挙げられるものはキリがないのであるが、この物語を特別なものとしているのは、なんといっても「三体」というタイトルの物語内ゲームのアイディアである。

 

VRゲーム「三体」の世界では、気候が比較的安定する「恒紀」と、気候が人類が滅亡するほど荒れ狂う「乱紀」が交互にやってくる。三体世界は勃興と崩壊を繰り返し、ゲームのプレイヤーの力を借りながら、文明のレベルを更新していく。

 

汪淼は、乱紀の原因を、三つの太陽が引き起こす「三体問題」であると推察する。三体問題とは、質量が同じ、もしくはほぼ同程度の三つの物体が、たがいの引力を受けながらどのように運動するかという、古典物理学の代表的な問題である。この問題には一般解が存在しないと言われているが、この問題を解決しない限り、プレーヤーは三体世界を救うことはできない。

 

このゲームのシステムと世界観がめちゃくちゃに面白い。これを思いつく作者の発想力と描写力のたくましさ……僕は思わずため息が出た。

 

さて、このVRゲーム「三体」と宇宙人がどのように絡んでくるのか……。それは、本書を読んでからのお楽しみ! 誰もがこの小説のとりこになることを保証します!

 

 

 

中国では、『三体』の続編、『黒暗森林』、『死神水生』も大ヒットし、社会現象となっているそうだ。『黒暗森林』の邦訳は2020年刊行予定。あ~待ちきれない!!

 

 

東尋坊に行った話など



暑中お見舞い申し上げます。

 

今年の夏は胸まで暑い、不思議な不思議な夏です。

 

みなさん、いかがお過ごしでしょうか。茹だるような暑さが続きますね。毎年夏になると思い出すのが、村上春樹の処女作『風の歌を聴け』に登場するラジオのDJ、「犬の漫才師」のセリフ。

 

「37度だぜ、37度。夏にしても暑すぎる。これじゃオーブンだ。37度っていえば一人でじっとしてるより女の子と抱き合ってた方が涼しいくらいの温度だ」

 

風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)

 

 

僕は今年の夏は、何をしてるかというと、遊びまくってます。近頃ほぼ仕事してません。

 

昨夜、新幹線と特急「しらさぎ」を乗り継ぎ、福井県坂井市三国町にある妻の実家にやってきました。妻の実家に泊まり、今日は東尋坊に行ったりなどしました。この記事では、本日撮った写真を貼り貼りしたいと思います。(最近写真ばかりの手抜き記事が多いですが、この記事もその内の一つ)

 

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祖母からもらった洋服でお出かけする息子ハルタ(2歳)

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東尋坊タワー

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東尋坊に来た!

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断崖絶壁!

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東尋坊の模型

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ウニを食べました

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エビも食べました

 

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幼児はかき氷で充分です

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帰宅し、プールで遊ぶハルタ

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神の島、雄島

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近所の海女さんから安くいただいたサザエを夕飯に食べました。お店で食べれば一つ500円はします。

 

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息子2人は遊び疲れて寝てしまったので、妻と2人で打ち上げ花火を見に行きました。


今晩も妻の実家に泊まり、明日は三国の町を散策するつもりです。皆さんも良い夏休みをお過ごしください。





 

『華麗なる一族』と友人の結婚式とその夜の話

 

友人の結婚式が行われる会場がある六本木に、式開始の一時間前に着いてしまった。僕はコーヒーチェーン店に入り、アイスコーヒーと朝食を注文した。外は暑かった。スーツはしんどい。

 

先に来たアイスコーヒーをすすりながら、『華麗なる一族』の下巻を読んだ。二か月、上巻からちびちびと読み進めていたが、もうすぐ読み終わる。

 

華麗なる一族(下) (新潮文庫)

華麗なる一族(下) (新潮文庫)

 

 万俵大介は、大同銀行の専務と結託して、鉄平の阪神特殊鋼を倒産へと追いやり、それをも手段に、上位の大同銀行の吸収をはかる。鉄平は、三雲頭取を出し抜いた専務と父親の関係を知るに及び、丹波篠山で猟銃自殺をとげる。帝国ホテルで挙行された新銀行披露パーティの舞台裏では、新たな銀行再編成がはじまっていた。聖域〈銀行〉にうずまく果てしない欲望を暴く熾烈な人間ドラマ。

 

自殺してしまった鉄平のよき理解者であった大同銀行の三雲頭取が、鉄平を自殺へと追いやった万俵大介に投げかける言葉が印象に残った。

 

「企業発展のためには、肉親でも何でも、人間的なものを一切、犠牲にし、置き忘れてしまってもいいものでしょうか、人間性を置き忘れた企業は、いつか、何処かで必ず、躓く時が来るというのが、私の信条です」

 

「万俵さん、孟子の教えに、『天下ヲ得ルニハ 一不義ヲ成サズ 一無辜ヲ殺サズ』という言葉がありますねぇ」

 

「天下ヲ得ルニハ 一不義ヲ成サズ 一無辜ヲ殺サズ」というのは、天下を得るには、一つの不義もなさず、一人の罪なき者も殺してはならないという意味である。万俵大介は同じ邸宅に妻と愛人を同居させ、ときには三人で夜のベッドを共にする生活を妻に強要するという不義の私生活を営んでいる。さらには、鉄平は自身の子ではなく、祖父の子ではないかという暗い疑惑を持ち、鉄平を追い詰めてしまう(鉄平の死後、鉄平は大介の実の子だったことが判明する)。三雲の言葉は、大介の胸を鋭くえぐった。

 

鉄平や三雲のような自身や他者に正直で、高い理想を持つ人たちが不幸に陥り、悪党が巨利を得る結末に、僕は、もうちょっと救いがあればいいのにと悲しくなったが、そこに資本主義社会のリアルある気がした。

 

さて、次は何の本を読むかな。……朝食は注文から40分経っても来なかったので、諦めて店を出ることにした。

 

 

 

結婚式の新郎のプヨ(あだ名)は高校時代の友人である。同じバスケ部に所属していた。高校時代のバスケ部には同学年の部員が20人いた。卒業から12年ほど経つが今でも全員が仲が良い。

 

仲が良いので、結婚式には誰を招待するのかに悩んでしまう。まさか高校時代のバスケ部の友人だけで20人にも呼ぶわけにはいかない。僕も自身の結婚式を行ったときには、誰を招待するかかなり迷った。

 

プヨの結婚式に呼ばれたのは、僕を含め9人。みんな30歳となり、体型もおっさんに近づいている。端的に言えば、皆、太った。まあ僕もこの一年で3キロ、2年で6キロと右肩上がりで太っているので人のことは言えないが。

 

プヨの結婚式と披露宴は素敵で楽しく、食事もお酒も美味しかった。プヨも立派になったなあ。僕は高校時代のプヨを思い出した。眉毛をいじりすぎて顧問に叱られたプヨ、教室の後ろにミニ四駆のコースを設置して担任に叱られたプヨ、たくあんのような匂いの屁をこいて先輩に叱られたプヨ‥‥。そんなプヨも今では海外を飛びまわる立派な商社マンとなり、自身の家庭を持とうとしている。

 

お嫁さんからは聡明さが感じられた。彼女も世界を相手に仕事をするキャリアウーマンだ。披露宴で、彼女の高校時代からの友人がスピーチをした。お嫁さんは、高校生の頃から、世界の人と関わり、国際的に活躍できる仕事をしたいと将来の夢を語っていたそうだ。

 

そのスピーチを聞いていた、僕の隣に座るノッポ(あだ名)が言った。「素晴らしいね。おれらが高校生のときは、ほぼ、おっぱいの話しかしてなかったよな」

 

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披露宴で出たフォアグラ。いつかご飯にフォアグラをのせて食べたい。

 

二次会はなく、披露宴の後、仲間たちとカラオケに行って、プヨを待った。同世代とのカラオケは久しぶりで、楽しかった。オレンジレンジポルノグラフィティバンプオブチキンレミオロメンなどの曲を皆で合唱した。僕は、『おジャ魔女カーニバル!!』を腰を振りながら歌った。

 

3時間くらい歌い、飲んだが、ついにプヨはやってこなかった。新郎は忙しいよね。仲間たちは解散した。

 

 

 

酔いがいい感じにまわっていたが、帰りに新宿の紀伊国屋書店に寄った。じっくり見て回ったが、結局購入したのは2冊。

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1冊は、中国SF、『三体』。話題の新刊であり、紀伊国屋書店では平積みされていたが、僕の近所の本屋には置いていない。

 

三体

三体

 

 

もう一冊は、斎藤哲也編著の『読解 評論文キーワード』 。「文化系トークラジオLife」のフェアコーナーの棚に置いてあった。

 

 

紀伊国屋書店の外に出たが、夜だというのに、まだ暑い。この日はかなり汗をかいた。歌舞伎町の喫茶店に入り、酔い覚ましのコーヒーを飲みながら、購入した本をしばらく読んだ。

 

この喫茶店に入るまでに、たくさんの客引きに声をかけられた。歌舞伎町では、「客引きはボッタクリだ!」という放送がバックミュージックのように延々と流れている。大きな笑い声、パトロールする警官、よろめきながら歩く人、寝そべる人、時代を30年くらい先取りした奇異なファッションの人、映画館の上にはゴジラ、散らばるゴミ、きらめく広告のネオン‥‥。強いサイバーパンク感。

 

東京の整備などせずに、あと1年で、一層「ブレードランナー」的都市の装飾を施せば、東京オリンピックに来た海外の人も逆に喜ぶんじゃないかなあ。

バリューブックスへ本を売った話と京アニへの支援金の話

6月23日に放送された、TBSラジオ文化系トークラジオLife」の「ポスト熱狂の組織論」の回でスポンサーについた企業「バリューブックス」のサービスに興味を持ったので利用してみた。バリューブックスは、ネットで本の買い取りを申し込めるサービスを提供している。まあ、詳しくはバリューブックスのホームページをご覧ください。

 

www.valuebooks.jp


専門書をわりと高めに買い取ってもらえるようなので、読まなくなった教育関連の本を何冊か選んで、段ボールに詰めた。

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この7冊に、さらに4冊加えました。


計11冊。集荷を日時を指定して申し込むと、宅配業者が玄関先まで本を詰めた段ボールを引き取りに来てくれた。これは便利。


数日後、バリューブックスから査定結果の連絡が来た。

 

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買い取ってもらえたのは11冊中6冊。買取額は134円(送料500円が差し引かれた値段)。まあまあかな。


値段がつかなかった書籍も、「book gift project」という活動で、いろんな施設に寄付されるなどリユースされることがあるそうな(自分の本の行方が気になる)。自身の本棚もいっぱいいっぱいだし、集荷のサービスも便利なので、今後もバリューブックスを活用してみようかなと思います。

 

 

バリューブックスの話題だけでは文量が少ないので、京都アニメーションへ支援金を送った話も。


7月18日の京アニの事件は、非常に凄惨でした。ご遺族の悲しみは想像もつかないほど大きいと思います。日本のアニメ界の宝が失われてしまったことは残念でなりません。自分も、『涼宮ハルヒの憂鬱』や『けいおん!』など京アニの作品には大変お世話になったので、何かできることはないかと、少額ですが、支援金を送りました。

 

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京アニホームページより



失われてしまった命は戻ることはありませんが、このような事件が二度と起こらないことと、京アニが早くに復興することをただ願うばかりです。

清水屋みやげ店のかき氷など冷たいものを食べた記録

伊勢原にある「清水屋みやげ店」のかき氷

 

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大山入り口にあります

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どこか懐かしさを感じる店内

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僕が頼んだのは「ライチ&カルピス」(600円)。でかい。

 

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妻は「ココナッツ&パイン」(700円)。とても美味しく、サクサクと食べ進められます。

 


サーティワンアイスクリーム

 

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鉄板の美味しさ。7月31日までダブルの料金でトリプルを食べられます。

 

 

③アイスキャンデーを突っ込んだジュース

 

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これ毎日家でやってる。ジュースが冷たくなるし、めちゃんこ美味いです。

 

お腹壊しました。冷たいもののとりすぎには気をつけましょう。

アンパンマンで、2歳息子の映画館デビューの話

 

そして、イヤイヤ期は到来した。

 

2歳の息子・ハルタは、何をさせようとしても「やだ!」と言って逃走してしまう。

 

「お着替えしよう」「やだ!」「マンマ食べよう」「やだ!」「お風呂入ろう」「やだ!」「歯磨きしよう」「やだ!」「ネンネしよう」「やだ!」「 」「やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ……」

 

アンパンマンの映画見にいこう」

 

「うん!!」

 


 

休日のTOHOシネマズは、激混みもみくちゃ丸であった。

 

満身の力を腕にこめてハルタを抱え、打ち寄せ渦巻き引きずる人の流れを、何のこれしきとかきわけかきわけ、獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐憫を垂れてくれ、チケットとポップコーンを購入することができた。スクリーンに入場するときに、入場者限定プレゼントであるマラカスをもらった。映画を鑑賞しながら、これを振って鳴らしてもいいそうだ。

 

アンパンマンの映画は、「まっくらじゃない!」「やさしい音量」「歌って踊れる!」を売りにしていて、子供の映画館デビューに最適である。上映中は、歌ったり踊ったり、大きな声でアンパンマンを応援したりしても大丈夫(大人は遠慮しましょう)。

 

映画『それいけ!アンパンマン/アイスの国のバニラ姫』が始まると、アンパンマンの登場に子供たちは大喜び! ハルタは初めての映画館での映画鑑賞。僕は泣き出してしまうのではないかと心配していたが、彼も大喜びでマラカスを振って、「アンパンマーン!」と叫んでいた。

 

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ストーリーは、これまでのアンパンマン映画の構成をほとんど踏襲している(これまでのアンパンマン映画はDVDで大体見た)。悩める未熟なゲストキャラがアンパンマンたちとの交流、バイキンマンとの戦いを通して、人間(?)的に成長するというのがお決まりの流れだ。

 

今回のゲストキャラは「アイスの国」のバニラ姫。バニラ姫は、上手にアイスを作ることができず、自信を喪失し、アイスの国を飛び出してしまう。しかし彼女は、人の笑顔のために、自身の顔を分け与え、ときには悪とも戦うアンパンマンと出会い、アイス作りに本当に大切なものに気づくのであった。

 


 

アンパンマンの作者である、故・やなせたかし氏は、日中戦争、太平洋戦争への従軍経験がある。戦中と戦後直後の飢えの経験から、やなせ氏は「人生で一番つらいことは食べられないこと」という思いに至ったそうだ。この体験こそが、アンパンマン誕生のきっかけである。

 

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やなせたかし

 

アンパンマンは自分の顔を食べさせ、飢えを満たすことで人を救う正義の味方である。一般のヒーローのように決して戦闘力は高くない。顔の一部を与えたり、雨に濡れたりすることで力が半減してしまう。しかしそれでも、やなせ氏はアンパンマンこそが本当の正義の味方であると信じている。権力や暴力を振るってのさばる連中にやなせ氏はほとほと嫌気がさしていたのではないか。

 

あんぱんまん (キンダーおはなしえほん傑作選 8)

あんぱんまん (キンダーおはなしえほん傑作選 8)

 

 

絵本『あんぱんまん』の巻末には、以下のやなせ氏の名言がある。

 

ほんとうの正義というものは、けっしてかっこうのいいものではないし、そしてそのためにかならず自分も深く傷つく。

 

 

 

アンパンマンの映画にハルタは非常に満足した様子であった(実は僕は最後の10分くらい寝てしまった)。映画館を出ると、妻と次男・レイ(生後4ヶ月)と合流。スーパーに夕飯を買いにいった。

 

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最近ハルタが気に入っている買い物カート

 

すっきりしない空模様が続きますね。今年の夏は子供と水遊びでもしたいです。