ゴロネ読書退屈日記

ゴロネ。読書ブログを目指している雑記ブログ。2人の息子とじゃれ合うことが趣味。

『創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで』を読んでー「統合失調症=創造の病」の時代の次に来るもの

先日、槇原敬之氏が覚醒剤所持で逮捕されたが、彼を擁護する意見を少なからず目にした。こういうアーティストとドラッグについて取り沙汰されるときに必ずある擁護の意見の一つは、「クレイジーさが創造的なものを生み出す源になる」といったものである。 そ…

中原中也の詩に泣いた話

1 新型コロナウイルスの影響で、仕事が恐ろしく暇になってしまった。商売上がったりである。 退屈なので、読書がビックリするほど進む。……あ、ブックリするほど進む。『中原中也詩集』を読んだ。詩なのでしっかり声に出して読んだ。 中原中也詩集 (新潮文庫)…

急の休校措置に翻弄される教員の備忘録

過去の記事で何度か言ったことがあるが、僕は中学校の教師の仕事をしている。 ここ数日のようなことは、今後の教員人生でなかなか遭遇することもなさそうなので、備忘録として書き残しておく。 2月27日(木) 僕は今年度、中学2年生の担任をしている。 この…

王はメロスの鏡像であるという話ー『走れメロス』再々読のすすめ

1 中学生と『走れメロス』を学ぶ季節がやってきた。2,3年に一度のペースで、このお仕事がやってくる。 僕はこの時期、自身のやる気を高ぶらせるため、太宰治の小説を手に取るようにしている。今年は、『お伽草子』を読んだ。 お伽草紙・新釈諸国噺 (岩波…

天の橋立に行ってきました……の写真

日本三景の一つ、天の橋立に行ってきました。この記事は、その記録です。写真ばかりの記事になるかと思いますが、このブログは自身の備忘録でもありますので、悪しからず。 2年ぶりに京都駅に来ました。コロナウイルスの影響か、中国人観光客が少ない気がし…

文化系トークラジオLifeのイベントに行った日曜日の話

1 朝は遅めに起きた。 昨夜のお酒が残っていて、少々胃がもたれていた。自分にしてはよく飲み、よくしゃべった夜だった。 妻は僕が起床したことを確認すると、近所のファミレスに勉強に出かけた。中学校の理科の教員である妻は、育児休暇をまもなく終え、4…

『ロボ・サピエンス前史』の話-ホモとロボのあいだ

1 しびれる漫画を読んだ。タイトルからもうしびれる。その名も『ロボ・サピエンス前史』。 ロボ・サピエンス前史(上) (ワイドKC) 作者:島田 虎之介 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/08/23 メディア: コミック ロボ・サピエンス前史(下) (ワイドKC) 作…

『つみきのいえ』の話など

1 短編アニメ映画の『つみきのいえ』を見る機会があった。2008年度劇場公開作品。 つみきのいえ (pieces of love Vol.1) [DVD] 出版社/メーカー: 東宝 発売日: 2008/10/24 メディア: DVD 第81回アカデミー賞短編アニメ賞や、アヌシー国際アニメーションフェ…

『宮沢賢治童話全集』を聴いている

1 昨年11月から利用している、オーディオブックのプラットフォームである「Audible」にゾッコンである。 gorone89.hatenablog.com オーディオブックなぞすぐに飽きるかと思っていて、お試しに始めたのであるが、まんまとハマってしまった。僕の車通勤生活と…

「大人」の理想像の話

今週のお題「二十歳」 1 正月休みが終わり、仕事が始まった。 辛いっちゃ辛いんだけど、まだ耐えられる負荷であり、とても楽しく仕事ができている。自己有用感っていうのかな……誰かの役にちゃんと立っているという感覚がある。まあ、毎年、年初めはこうなん…

『人生の意味の心理学』の話など

1 早朝、自宅から3キロほどのところにある神社までジョギングした。気持ちいい。今年2回目の参拝。 正月休みは読書漬けであったので身体が鈍っていたが、それが解消されていくのが実感できた。様々なことを詰め込み、ぐちゃぐちゃとなっていた頭も整理さ…

【2020年】明けましておめでとうございます!

今週のお題「2020年の抱負」 明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いしますっ! いやはや、今年も良い一年にしたいです。 僕の今年の抱負は何かと申しますと…… ありません!!! もう今年から抱負を決めて、それを宣言するのはやめました。だ…

2019年下半期に読んだ、心に残る10冊の本

gorone89.hatenablog.com 2019年下半期に読んだ本の中から、心に残った10冊を紹介します。 『明暗』(夏目漱石) 明暗 (新潮文庫) 作者:夏目 漱石 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2010/01 メディア: 文庫 30歳の痔持ちの主人公に妙な親近感を抱いた。登場…

妻の実家でゴロゴログダグダ

ここ2週間ほど怒涛の日々であったが、なんとか26日に仕事は納まった。26日の夜は勝利に酔いしれていた。誰かに勝ったわけではない。自分に勝ったのだ。逃げ切った。不恰好であったが、自分にしてはいい走りだった。夕飯に、ロピアで買ったサーモンとスモー…

『スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け』の話ー「スカイウォーカー」の名を受け継ぐ必然について

1 『スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け』を映画館で見た。 『スターウォーズ』新シリーズの、エピソード7『フォースの覚醒』、エピソード8『最後のジェダイ』があまりに期待外れな出来だったので、それほど期待せずに、シリーズ最終作である今作、…

『レモン哀歌』の話ーなぜ光太郎は智恵子の写真の前にレモンを置くのか?

1 1911年(明治44年)12月、詩人でもあり彫刻家でもある高村光太郎と、洋画家の長沼智恵子は、光太郎のアトリエで運命的な出会いを果たした。2人はすぐに恋に落ちた。 智恵子と光太郎 以前の光太郎の詩は、社会に対する怒り、迷い、苦悩に満ちたものであっ…

僕のコーディネートを見てください。-『ポケットモンスター ソード/シールド』

近頃ブログを更新していなかったのは、ポケモンの新作をやっていたからです。 夜にコツコツと『ポケットモンスター シールド』を進め(妻は『ソード』をプレイ)、一応メインストーリーはクリアしました。 『ポケットモンスター ソード・シールド』ダブルパ…

自尊感情を育てる必要はあるのか……?の話

1 2019年の新書の中でいちばんの話題作であろう『ケーキの切れない非行少年たち』を読んだ。 ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書) 作者: 宮口幸治 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2019/07/12 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 児童精神科医…

『居るのはつらいよ』を読んでーデイケアと学校の共通点の話など

1 愛聴しているラジオ番組「文化系トークラジオLife」(TBSラジオ)の前回(10月27日放送)のテーマは「いま友達と集まるならどこですか?~ポスト居酒屋コミュニケーションの時代」であった。 9月にキャンプに行ったばかりの僕は、「いま友達と集まるなら…

「知」と「愛」のバランスの話ー『善の研究』を読んで

1 近頃、「あたま」を使いすぎている。頭蓋骨の間からプスプスと煙が出ている感覚がする。 「考える」とか「判断する」といったことにウンザリしているのである。ブルース・リーだって「Don't think. Feel!」と言っていたじゃないか。……感じたことを感じた…

オーディオブックの衝撃

今年の目標の一つは本を100冊読むことであったが、年末までにその目標を達成できないであろうことは明白であった。言い訳をするが、本を読む余裕がないのだ。学生のころであれば、年間100冊くらいなら、なんなくクリアできたであろうが、自身の今の生活を顧…

『人生論ノート』の「孤独について」の章を読んで考えたこと

1 孤独は山にはなく、街にある。一人の人間にあるのではなく、大勢の人間の「間」にあるのである。孤独は「間」にあるものとして空間の如きものである。「真空の恐怖」ーそれは物質のものでなくて人間のものである。 人生論ノート (新潮文庫) 作者: 三木清 …

あ〜そこは亀有〜♪ あ〜きっと亀有〜♪ の写真

浅草観光の帰りの車で、僕は運転しながら、浅草には両津勘吉の実家の佃煮屋があるんだという話をきっかけとして、妻に『こちら葛飾区亀有公園前』の魅力を熱く語った。妻は小学2年生まで亀有に実際暮らしていたのだそうだが、『こち亀』のことを知ってはい…

キャンプなど友達と遊んだ話

1 木曜の夜、ヒゲ(あだ名)が自宅にやってきた。ヒゲは高校時代からの友人であり、高校生の頃から髭を蓄えていた。『SLAM DUNK』の野間忠一郎みたいに。 野間忠一郎 現在、ヒゲの奥さんと1歳のお子さんは実家に帰っていて、彼は暇らしい(なぜ実…

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、たまらなく好き。

1 ロマンティックな映画でもあったなあ。クエンティン・タランティーノの、あの頃のハリウッド、そしてシャロン・テートへの深い愛を感じずにはいられなかった。 マーゴット・ロビー演じるシャロンが、自分の出演している映画を映画館にふらりと見に行くシ…

カービィカフェに行ってきました!!の写真

夫婦ともに任天堂のゲームキャラクターが大好きで、その中でも「星のカービィ」は特にお気に入りです。東京スカイツリータウン・ソラマチにあるカービィカフェにいつか行きたいねと以前から夫婦で話していましたが、2歳と0歳6ヶ月の2人の息子を連れ、つ…

なんとなく、ビックリマンの話をしてみる。略して「なんクリ」。

▽ 今年の夏は絶好調だ。その理由はいくつか挙げられるけど、最大の理由は、長年苦しめられていた痔₁の症状が改善したことであると思ってる。 初めて痔になったのは高校2年のとき。私はパナソニック₂のMDウォークマン₃でバンプオブチキン₄などを聴きながら…

イリイチの思想ー『脱学校の社会』を読んで

1 社会思想家であるイヴァン・イリイチの『脱学校の社会』を読んだ。 脱学校の社会 (現代社会科学叢書) 作者: イヴァン・イリッチ,東洋,小澤周三 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 1977/10/20 メディア: 単行本 購入: 5人 クリック: 40回 この商品を含…

物語文学の発展と「もののあわれ」の話

1 夏になってから、角田光代訳の「源氏物語」を、原文と照らし合わせながら読み進めている。 源氏物語 上 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2018/09/14 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 学生のときに…

『破戒』の話ー「公」と「私」の葛藤から見えてくる「近代」について

1 「近代」とは、目覚めた「私」を押さえつける封建的な「公」との格闘の時代である。文学はこの時代をどのように見つめたのであろうか。島崎藤村の小説『破戒』を通して、「公」と「私」の葛藤から見えてくる「近代」について考えてみたい。 破戒 (新潮文…