ゴロネ読書退屈日記

ゴロネ(89年生まれ)一児の父。好きなものは読書、映画鑑賞、息子ハルタとじゃれ合うこと。

同級生との飲み会と『美少女戦士セーラームーン』と『Kの昇天』の話

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先日、中学校の同級生の何人かと飲みに行った。

 

1年か2年かの周期で集まるのであるが、それぞれ取り立てて面白い近況の話題を持っているわけではなく、話題のほとんどは中学時代の思い出に終始するのであった。

 

調理実習をボイコットした話、学校の廊下でミニ四駆を走らせた話、教室のカーテンをすべて取り外して持ち帰った話、数学の先生が特別教室に置いていた十数個の植木鉢に咲く花々に過剰に水をやり全滅させた話……。

 

「ゴロネは教室に貼ってあった、大きな時間割の掲示物を徐々に下の方から破っていくイタズラしてたよな。最終的には3時間目あたりまでしか時間割がわからなくなってた」と友人。

 

「いや、それはおれじゃない」

 

……などと、似たような話が集まる度に繰り返し話され、正直そのループにうんざりしていた。

 

近頃では、中学時代の記憶など風化しつつあって、その思い出の出来事は実際にあったことなのか、それとも誰かの作り話が実際にあったこととして記憶に組み込まれたことなのかと疑わしくなってきた。何人かの友人と共有されている思い出話であっても、最近では、お互いの記憶の間で細部の部分についてかなりの齟齬が生じていた。

 

真相は藪の中。

 

 

 

飲み会のあとは、カラオケに行った。(そこでも飲んだ)

 

僕は、アニメ『美少女戦士セーラームーン』の「ムーンライト伝説」を熱唱した。

 

月〜の光に導かれ〜♪ な〜んども巡り会う〜♪

 

昨年の夏頃、僕は妻が持っていた『美少女戦士セーラームーン』の漫画を熱心に読んでいた。

 

バイリンガル版 美少女戦士セーラームーン1 Pretty Guardian Sailor Moon (KODANSHA BILINGUAL COMICS)
 

 

月野うさぎはタキシード仮面に恋をしている。恋をしている本人は真剣かもしれないが、はたから見ると、それはほとんどコメディと変わりはなかった。

 

うさぎ「私のこと、“うさぎ”じゃなくて、“うさこ”って呼んで……♡」

 

ゴロネ「きもっ!」

 

妻「そもそも、セーラームーンを読んでるお前がきもい」

 

ゴロネ「……」

 

 

 

カラオケが終わり、解散することとなった。最近結婚した友人が、気持ち悪そうな顔をしている僕を心配してくれた。僕は彼の気遣いに感謝し、「大丈夫、ありがとう」と言った。(そして、ポケモンのソフトを中学のときから借りパクしたままでごめん)

 

足をふらつかせながら、1人で歩いて帰る道の途中、少し吐いた。涙目になった。

 

夜空には、月が輝いている。もうすぐ満月だな。そういえば新年の1月2日はスーパームーンらしい。

 

名月をとってくれろろろろろろろろろろと泣く子かな

 

 

4

 

月というと、梶井基次郎の短編小説『Kの昇天』を思い出す。

 

Kの昇天/檸檬 朗読CD付 (海王社文庫)

Kの昇天/檸檬 朗読CD付 (海王社文庫)

 

 

主人公の「私」は、満月の輝く夜の砂浜で、砂の上を見つめてうろうろと歩く「K君」と出会う。彼らは仲良くなり、「私」は「K君」 に満月の夜に砂浜で何をしていたのかを問うと、「K君」は自分の影を見ていたと答える。

 

君もやってみれば、必ず経験するだろう。影をじーっと凝視めておると、そのなかに段々生物の相があらわれて来る。外でもない自分自身の姿なのだが。それは電燈の光線のようなものでは駄目だ。月の光が一番いい。

 

   自身の姿が見えて来る。不思議はそればかりではない。段々姿があらわれて来るに随って、影の自分は彼自身の人格を持ちはじめ、それにつれて此方の自分は段々気持ちが遙かになって、或る瞬間から月へ向って、スースーッと昇って行く。それは気持ちで何物とも云えませんが、まあ魂とでも云うのでしょう。それが月から射し下ろして来る光線を遡って、それはなんとも云えぬ気持で、昇天してゆくのです。

 

月に照らされた自身と自身の影は、二つに分裂し、自身のほうは月に昇天する。なんて幻想的なお話だろうか。ミラクル・ロマンっす。

 

 

 

いやはや、月に昇天できたら、どんなに良い気持ちだろうか。僕の身体は月の光に導かれ、ついには煙のようになり、月に昇ってゆく。

 

……ふう。

 

2018年も、足を地につけて堅実に生きたいと思います。みなさん良いお年を。