ゴロネ読書退屈日記

ゴロネ(89年生まれ)一児の父。好きなものは読書、映画鑑賞、息子ハルタとじゃれ合うこと。

『NARUTO』の話ー諦めの悪い忍者、うずまきナルトについて

 

NARUTO -ナルト- 1 (ジャンプ・コミックス)

NARUTO -ナルト- 1 (ジャンプ・コミックス)

 

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漫画『NARUTO』を全巻読んだ。

 

中高生の頃に熱心に読んでいたのだが、大人になるにつれ、次第に読まなくなり、コミックを集めるのも40巻あたりでやめてしまった。しかし最近、妻の本棚に全72巻が揃っているのを見つけ、「最後まで読んでみるか」と思い立ち、平日は1冊、休日は2冊のペースで1巻から読み進め、約2ヶ月で読み終えた。

 

うーむ……、この漫画は……、面白い!!

 

 

 

中高生の頃、『NARUTO』は好きな漫画の一つであったが、「最高!」と言えるほどの作品だったかというと、それほどでもなかった。とにかくこの漫画は設定の無理矢理感が大きく、「『NARUTO』のツッコミどころ」というテーマで漫画好きの友人と語らえば、2時間は軽く超えてしまうだろう。

 

個人的には、主人公である、うずまきナルトに魅力を感じられなかった。「少年週間ジャンプ」のライバルであった『ONE PIECE』の主人公であるルフィに比べると、ナルトはかなり繊細で弱い主人公のように感じたのである。

 

ルフィは最初から今まで超ポジティブ人間で、他の登場人物から好かれやすい。対して、ナルトはすぐに落ち込んだり傷ついたりするし、自身の負の感情にしばしば飲み込まれ、周囲の人間から見下された目で見られることがある。

 

ナルトにもポジティブな部分はある(むしろ、読み返してみてわかったが、ポジティブ傾向の方が強い)。しかし、ネガティブ体質であった中高生の頃の僕は、自分とは真逆なスーパーポジティブな強い主人公に憧れがあった。だから、少しでもネガティブな匂いのする少年漫画の主人公が好きになれなかったのである。

 

 

 

ところが、大人になりじっくりと読み返してみると、自分の中で新たな感情が湧いていることに気づいた。……ナルトって、いい奴じゃん!!

 

通して読むと、この物語は、負の感情にまみれ、周囲の人間との関わりによる温かさを知らなかったナルト少年が、関わった全ての人間を前向きにさせるスーパーポジティブ忍者に成長する話だということが分かる。

 

ナルトは他者とのつながりに元々飢えていたからか、一度できたつながりにしつこいほど執着する。最大の友であるサスケに何度も関係を断ち切られそうになっても、ナルトはその関係を必死に繋ぎとめようとする。

 

ナルトの最大の武器は、この諦めの悪さである。

 

まっすぐ自分の言葉は曲げねぇ。それが俺の忍道

 

俺があきらめるのをあきらめろ!

 

ナルトのような人間が今の現実社会にいたとしたら、かなり「ウザい」存在だろう。しかし、同時に貴重な存在でもある。

 

SNSなどの発達によって、価値観の近い他者とつながることが容易になったが、反面、いつでも代替可能な関係であるように思えてしまい、一度できたつながりを断ち切る(ブロックする)ことも容易になってしまったと感じる。

 

他者との衝突が起きる予感がすれば、その時点でつながりを断ち切る行動をしてしまうという経験が僕にもある。しかし、それは、衝突してでも相手と腹を割って話し合うことで起きる、さらなる関係の深化の可能性を手放してしまっているとも言える。

 

ナルトはサスケにどんな仕打ちを受けようとも、過去の友情の思い出を原動力に、決して諦めず、衝突を繰り返し、遂にはサスケの心を再び開かせ、信頼に基づいた強い人間関係を得ることとなる。

 

他者とつながることが容易になったにも関わらず、浅い人間関係しか作れずに孤独を感じる現代人が、ナルトの人間関係に対する姿勢から学べることはとても多いように思える。

 

 

 

ナルトが成長するにつれ、自身の強みを最大限に発揮できるようになったことには様々な要因があると思うが、最も大きな要因は、「大人による承認」であろう。

 

ナルトの最初の師であるイルカ先生は、次第に存在感が薄くなっていくが、この人の果たした功績は大きい。周囲からバカにされ、他者を憎み、存在を認めてもらうためにイタズラを繰り返す少年期のナルトの良さを見つけ、認め、彼を応援する。

 

ナルトが自分に自信を持つきっかけを作ったのは、このイルカ先生である。これ以後も、ナルトはナルトの良さを認め、伸ばしてくれる良き師に巡り合うことで、自己肯定感を高め、さらには敵をも承認するような寛容な心を持つまでに成長し、忍者の里の長である火影となる。

 

僕はある程度のネガティヴさは生きる上で必要だと考えているが、あまりの自尊感情の低さは子供の健全な成長を妨げるし、他者の良さを認められない大人に育つ危険性もある。

 

ナルトが自身を認めてくれる師に出会うことなく、短所ばかりを非難してくる大人や、彼の存在を認めようとしない大人ばかりに出会っていたとしたら……。

 

NARUTO』を読んで、子供のよりよい成長に対して、いかに大人の責任が大きいかということについて考えてしまったのである。

 

 

 

NARUTO』はアニメもクオリティが高く、面白い。アニメで使われているOP曲やED曲も名曲が多いです。

 

アニメに使われた曲の中で個人的に最も思い入れが強いのは、「サスケ奪還編」のときに使われていたOP曲である、サンボマスターの『青春狂騒曲』です。

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