ゴロネ読書退屈日記

ゴロネ(平成元年生まれ)。読書ブログを目指している雑記ブログ。息子ハルタとじゃれ合うことが趣味。

『アマデウス』、ウイスキー、ピアノの思い出

11月3日

 

夜、『アマデウス』のDVDを見た。

 

アマデウス(字幕版)アマデウス(字幕版)
 

凍てつくウィーンの街で自殺を図り精神病院に運ばれた老人。
彼は自らをアントニオ・サリエリと呼び、皇帝ヨゼフ二世に仕えた宮廷音楽家であると語る。
やがて彼の人生のすべてを変えてしまった一人の天才の生涯をとつとつと語り始める・・・。
若くして世を去った天才音楽家ヴォルフガング・アマデウスモーツァルトの謎の生涯を、サリエリとの対決を通して描いた話題作。

 

制作は1984年。

 

学生の頃見たときは自由奔放で才気あふれるモーツァルトに惹かれたが、今回の鑑賞ではモーツァルトとは対極の人間であるサリエリに惹かれた。サリエリは、まるで嫌がらせかのような運命を背負わせた神を、逆に嘲笑してやろうと必死に戦う。

 

サリエリは自身を「凡庸」と言っているが、天才の音楽を理解する能力において非凡である。天才であるモーツァルトに対する激しい嫉妬がありながらも、モーツァルトの作る美しい音楽への深い愛情を持っている。

 

サリエリはその強い憧憬や嫉妬がモーツァルトの人生に早々と終止符を打たせてしまった事実に、老いてなお苦しみ続けているのである。彼の思いがモーツァルトの死の直接的な原因ではないにしろ、モーツァルトを取り巻く「凡庸な」人々の思いが死の遠因になったことは間違いないであろう。

 

僕たち凡庸な人間の天才に対する愛憎渦巻くまなざしが、天才を消耗し、ときには命までを奪ってしまうということはよくあることなのかもしれない。

 

 

10月26日

 

高校以来の友人であるヒゲ(あだ名)とガンダム(あだ名)と飲みに行った。

 

いつも行っているところとは違う飲み屋を開拓しようという話になった。老舗感のある居酒屋に勇んで入り、座敷で魚料理とともに日本酒を飲んだ。女将さんが言うには、最初に飲んだ日本酒は、地元のS大とそこの生徒が一緒に開発したものであるそうだ。旨い。

 

3人はそれぞれ近況を話した。ヒゲは子供が生まれたばかりで、奥さんが実家に帰ってしまい暇をしている話、ガンダムは2月に予定している結婚式の準備に苦労している話、僕は第二子の名前に悩んでいる話や父がうつ病になった話などをした。あとは仕事の話。ヒゲは整体、ガンダムはIT関連の仕事をしている。

 

22時を廻り、2軒目は3年ほど前に3人でよく行っていたショットバーに行った。客は誰もいなかった。カウンターに座る。

 

70歳に届いているように見える老マスターが一人でこのバーを切り盛りしている。マスターの背後には、海外のウイスキーがたくさん並んでいる。店には古い映画のポスターが至る所に飾ってあって、僕の目の前にはアラン・ドロンの写真があった。

 

このマスター、よくしゃべる。ウイスキーを女性にたとえた話をマスターがし、その話にヒゲとガンダムが乗っかり大盛り上がり。僕は先の日本酒と、何杯かのウイスキーが効いてきて眠たくなってきた。

 

40歳手前に見える酔っ払ったお兄さん(おじさん?)が店に入ってきて、僕の隣に座った。バーボンを飲みながら、マスターと僕の友人のおしゃれとも下品ともとれる会話を笑顔で聞いていた。

 

そして、お兄さんは突然「君たちS大生? S大の上司が何人か会社にいるけどみんな頭がおかしい」と話しかけてきた。ヒゲはめんどくさそうに「そうです、S大生です」と言って、マスターとの会話に戻った。僕たちはもう7年も前に大学を卒業してるし、誰もS大出身ではない。

 

そのお兄さんは、「最近、若い人の中には恋愛に興味がないって人が増えてるそうだけど、君はどう?」と僕に聞いてきた。僕は「まあいろいろと楽しいことはありますけど、恋愛に勝る楽しいことはありませんね」と適当に返事をした。

 

「なるほど、君はそう思うのね」と彼。僕はピーナッツをほおばったが、頭の中のモヤはさらに濃くなっていく。

 

「自分の恋愛はとてもシリアスでロマンティックに感じるのに、他人の恋愛はばかばかしく見えるのはなんでかな?」と彼。「さあ」と僕。

 

“人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇だ”とチャップリン

 

彼は一杯のバーボンを飲み終えると帰った。僕はカウンターに突っ伏して寝た。起きると24時を廻っていた。僕は「明日はバスケの審判が2試合あるから」と友人に言い、お金置いてバーを出て、ふらつきながら歩いて家に帰った。

 

翌朝気づいたが、ヒゲからLINEがあった。「父親をうちの整体に連れてこい。体がリラックスすると気持ちが変わる人が多いから」といった内容である。ヒゲはバーから帰ると、家でひどく吐き、日が昇るまで風呂の中で寝てたそうだ。

 

 

10月21日

 

この日、近所で祭りをやっていた。

 

夕飯後、身重の妻から頼まれて、祭りにクレープを買いに行った。途中、実家にいる弟から電話があった。

 

「父親が抗うつ剤がきれてパニック状態になり、救急車を呼んだ。今救急隊が家にいる」とのこと。最近父の具合がよくなかったが、救急車を呼ぶ事態になったのは初めてである。僕は「病院に運ばれるか運ばれないかが決まったらまた連絡ちょうだい」と言った。

 

クレープ屋は閉店間際であった。クレープは一枚しか焼いてくれないと言う。けち。僕は妻に頼まれたチョコバナナを注文した。僕はバナナが大の苦手である。

 

弟から「父はだいぶ落ち着いて、自宅で様子を見ることになった。救急隊は帰った」と連絡が入った。僕は駆け足で自宅に戻り、妻にクレープを渡して、車で実家に向かった。

 

実家の玄関の前でチャイムを鳴らす。後ろを振り向くと、左向かいの家の窓が少し開いており、その隙間からその家のおばあさんが僕の方を見ていた。さっきまで救急車が来ていたので、何事かと様子をうかがっているのだろう。

 

家に入ると、父は仰向けに寝転んで休んでいた。父は僕に「もう一度あの状態が来たら死ぬ」と言った。そして、「死んだら母さんを頼む」と繰り返し言った。

 

「まだ死なないよ」と僕はあしらう。弟は話題を変えようとした。どういう流れか忘れたが、話題は父の若い頃のことになった。

 

母は「お父さんは20代の頃、ピアノ教室に通っていた」と言った。初耳である。父親がギターを弾く姿は子供の頃から見てきたが、ピアノを弾くところは見たことがない。

 

「なぜピアノ?」と弟が聞くと、「アマデウス」と父。映画の『アマデウス』で楽しそうにピアノを弾くモーツァルトに影響を受け、ピアノを始めたそうだ。

 

アマデウス』の内容を知らない弟が映画の内容を聞くと、父はあらすじを詳細に語った。公開当時何度も繰り返し映画館で見たらしい。

 

僕は学生の頃ソフトで鑑賞したが、内容はうろ覚えであった。父の語りで映像が頭の中に蘇ってきた。そういえば、こんなに長くしゃべる父を久しぶりに見た気がする。

 

語りが映画のクライマックスに及んだ頃、連絡を受け父の様子を心配した叔父夫婦が家にやってきた。母は僕に「心配かけてごめんね。明日仕事でしょ、もう帰りな」と言った。

 

実家からの帰り道、TSUTAYAに寄り、『アマデウス』のDVDを買った。