平成の日本映画私的ベスト100[後編]
[前編]はこちら↓
[後編]では、平成16年(2004年)以降から50本を選出します。
『誰も知らない』
誰も知らない子供たちだけの生活。映画で描かれるネグレクトや児童虐待のニュースが頻発していますが、一部の親だけの問題ととらえるのではなく、子供たちを守るため、社会全体で問題意識を共有すべきです。
『下妻物語』
深キョンのロリータ姿が最高!土屋アンナとの友情物語も見どころです。
『ハウルの動く城』
公開時、僕は中学2年生でした。繰り返される退屈な日常にうんざりしていた中2病の僕は、新しい世界ではつらつと生きるソフィーにあこがれを抱いたのでした。
『フラガール』
ハワイアンズ誕生物語。ラストのフラダンスショーは圧巻です。
『紀子の食卓』
「レンタル家族」によって揺さぶられる既存の家族観……。鑑賞後一時間くらい落ち込みます。
6分40秒の長回しでトップシーンが始まります。この映画を見て、映画サークルにあこがれを持ちました。
『博士の愛した数式』
高校の数学の時間に見せられました 。80分しか記憶が持たない天才数学博士と家政婦とその10歳の息子の交流が温かいです。
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冤罪怖い。これを見て、混雑した電車内ではなるべく両手で吊革につかまるようになりました。
『トウキョウソナタ』
家族がぞれぞれ抱える秘密ー。大学生のときにデート映画として見に行きましたが、鑑賞後しばらくお互い無言になったのが懐かしいです。
『崖の上のポニョ』
初鑑賞の時、波の上をポニョが走るシーンで震えたのを覚えています。波にのまれてしまった後の世界が美しく、おそろしい。
『ぐるりのこと。』
生まれたばかりの子供の死を乗り越える夫婦の10年の軌跡。リリー・フランキーがいい味を出していて、予告編だけで泣けます。
『おくりびと』
第81回アカデミー賞外国語映画賞。納棺師の仕事を通じて、死生観について改めて考えさせられます。
『サマーウォーズ』
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エンターテイメント作品として一級品です。仮想世界でのアバター同士の激しい戦いと、現実世界での大家族の温かい交流が巧みにマッチしています。
『のんちゃんのり弁』
『モーニング』で連載していた同名漫画を映画化。小巻役の小西真奈美がとにかくかわいい。
太宰治原作、監督は『遠雷』の根岸吉太郎。大谷役の浅野忠信が非常にセクシーで、男の自分も彼に惚れました。
『愛のむきだし』
盗撮、パンチラ、レズビアン、信仰宗教とやりたい放題。237分の上映時間ですが、最後までまったく飽きません。
『ヤッターマン』
アニメと変わらぬ突き抜けたノリが良いです。深キョンのドロンジョ様がたまりません。
『悪人』
不幸な女性を演じさせたら、深津絵里はピカイチだと思います。同じ公開年の『告白』と賞を争いましたが、僕は断然こちらを推していました。
『海炭市叙景』
函館市を模した架空の北の地方都市「海炭市」 を舞台にした群像劇。ガスボンベで足の指で挟むシーンがあるのですが、見ているこっちも痛そうで泣きそうになります。
『大鹿村騒動記』
人生のすばらしさを謳った心温まる喜劇。様々なトラブルが上手に収斂していくプロットが見事です。
『僕達急行 A列車行こう』
森田芳光監督の遺作。『の・ようなもの』を彷彿とさせるのほほんとした雰囲気で、人生のしんどさがちょっと軽くなります。
『冷たい熱帯魚』
個人的には園子温監督のベスト映画です。「透明にしちまえばいい」と次々と人を消していくでんでんが怖すぎます。
『サウダーヂ』
在日外国人ひしめく地方都市のリアル。ラッパー役の田我流がいい味出してます。ソフト化されていないのが残念。
『かぞくのくに』
北朝鮮から25年ぶりに日本に帰ってきた兄。近い二つの国の遠さを実感します。
朝井リョウのベストセラー青春小説を見事に映像化。学生時代どのスクールカーストに所属していたかで映画の見方が変わります。
『ももいろそらを』
「バカ」 を連発する口の悪い女子高生がいいキャラしてる。彼女の趣味は新聞記事の採点。こんな高校生と友達になりたかった。
『ぼっちゃん』
秋葉原連続殺傷事件にインスパイアされた映画。孤独が人を狂わせる。
『風立ちぬ』
これを見ると仕事を一生懸命やろうという気分になります。結果がどうなるにせよ、何かに熱中できる人間はやっぱり魅力的です。
自費出版のベストセラーエッセイを映画化。ボケた母とハゲた息子の交流が微笑ましいです。
『かぐや姫の物語』
高畑勲監督の遺作。映像表現、物語ともに全てが美しいです。
『ほとりの朔子』
二階堂ふみと僕は誕生日が同じです(だから何だ)。汚らしい大人たちが何人が出てくるので、少年少女の淡い恋が際立って輝いて見えます。
『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』
林業の世界に飛び込む青年の成長物語。所々で笑え、特にラストの祭りのフィナーレが爆笑でした。
『FORMA』
坂本あゆみ監督、衝撃のデビュー作。人間関係や人物像が明らかになっていくにつれ、恐ろしさが増してゆき、最後の長回しでは息が止まりそうになります。これもソフト化していません。
『百円の恋』
『レイジング・ブル』のロバート・デ・ニーロとは逆で、安藤サクラがダルダルのぽっちゃり体型から、一気にボクシング体型になっていく過程には鳥肌が立ちます。ボクシング映画の歴史に刻まれる、新たな名作です。
『0.5ミリ』
押しかけヘルパー物語。『百円の恋』 とはまた違った安藤サクラの魅力が発揮されています。ここ10年くらいの日本映画界での安藤サクラの活躍はすごいです。
『恋人たち』
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様々な苦しみを抱えた恋人たち。妻を失った男の慟哭に涙せずにはいられません。
『海街diary』
ほんとこの美人4姉妹と一緒の街に暮らしたい。身近な人をもっと愛したくなる映画です。
『野火』
きっとリアルな戦場てこんなんだろうなあ。おどろおどろしい映像表現は脳みそにこびりつき、夢にも出てきました。
『岸辺の旅』
幽霊の夫と一緒に旅して出会う様々な人々。どこか会話がちぐはぐで、不思議な気分になります。
『シン・ゴジラ』
大災害が都心にやってきたときのシミュレーション。政治ドラマに徹しているのが素晴らしく、日本の政治機構の欠点と利点が浮き彫りにされます。
『淵に立つ』
刑務所帰りの男を演じる浅野忠信がほんとに怖い。淵に立つ赤シャツの浅野は悪魔のよう。
『この世界の片隅に』
何度見ても泣けます。こういう普通のいい子が何人も心と体に取り返しのつかない傷を負ったのです。戦争はいけません。
『I Am A Hero』
日本のゾンビ映画もここまで来たか!と感動。ゾンビの表情、動き、なにもかもが気持ち悪い!
『君の名は。』
空前の大ヒットアニメ映画。 黄昏時に2つの世界が重なり、ついに少年少女が出会う場面では感動でちびりそうになるほど震えました。
『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』
日雇い労働者の男と看護士で夜はガールズバーで働く女が出会い、お互いに少しずつ惹かれていく。セリフが詩的で、なんども見たくなります。
『あゝ、荒野』
寺山修司原作。吃音のボクサーの必死な闘いを応援せずにはいられません。結末は悲しすぎます。
『花筐/HANAGATAMI』
大林宣彦が『HOUSE』より以前に書いていた脚本を映画化。唯一無二の独特の映像表現によって反戦への強い思いを伝えています。
『孤狼の血』
登場人物一人ひとりのクセが強いですが、特に役所広司演じる暴力団係の刑事の迫力がすごい。『仁義なき戦い』 を彷彿とさせるナレーションの挿入にシビれました。
単館発の大ヒット作。1本の映画で様々な映画体験ができ、鑑賞後に幸せな気分になれます。
『万引き家族』
平成最後の傑作。是枝裕和監督は震災以後に強調されるようになった「絆」という言葉に疑問を持ち本作を撮ったそうな。思えば、平成という時代は、「絆」という言葉を声高に叫ばないと維持ができないほど、人々の関係性が脆弱になってしまった時代なのかもしれません。
☆
大学時代にかなり劇場に足を運んでいたので、その頃に見た映画はどれ選出するか悩みました。幼い子どもがいるのでなかなか映画が見れなくなりましたが、平成以後の時代もできる限り積極的に新しい日本映画を鑑賞していきたいです。