ゴロネ読書退屈日記

ゴロネ。読書ブログを目指している雑記ブログ。2人の息子とじゃれ合うことが趣味。

雨の休日の話

今週のお題「雨の日の楽しみ方」

 

 

雨の日の楽しみは、なんといっても読書である。

 

この前の雨の休日、お昼から妻はお友達のところへ遊びに行った。僕は自宅の掃除と、夕飯の下準備を済ませ、本に手を伸ばした。長男のハルタ(2歳2ヶ月)と次男のレイ(0歳3ヶ月)は長いお昼寝をしている。コーヒーを淹れ、本のページを繰った。

 

僕は昔から読書が結構好きである。これをしているときが何より楽しい。読書はすることはとてもいいことだと思っている。ただ、読書のメリットを熱く説くことで他人に本を読ませようとしている人は嫌いである。

 

読書をして「語彙力や読解力が身につく」などといったことはただのオマケであり、別にそのメリットを目的に本を読んでいるわけじゃあない。そういうメリットを享受するためだけにする読書は寂しいと思っている。別に本を読んだことが、生活の何の役にも立たず、無駄になってしまったって構わないじゃないか。僕にとって読書は、ただの娯楽であり、それ以上でもそれ以下でもない。

 

 

 

仕事で、中学生に「自分観察レポート」といったものを作成させてみた。

 

自分の1日の時間の使い方などを表や図にまとめさせ、そこから分かったことや考えたことを報告させる。レポートを眺めると、彼らの大半は自由な時間をスマホやゲームに消費していることが分かる。読書に時間を割いている子は皆無。読書も面白いよ。

 

まあ、スマホいじったり、ゲームするの楽しいもんね。僕も嫌いじゃない。今はどんなゲームが流行っているの?と聞くと、何本かオンラインゲームのタイトルをあげてくれた。僕はオンラインゲームはやらないが、僕の妻は大好きである(近頃は、「ポケモン」のネット対戦に夢中で、オンラインの全国順位で700位以内にランクインしたと喜んでいた)。

 

生活とインターネットの一体化が果たして良いことなのか悪いことなのか、僕には判断がつかない。一つ分かることは、新しい文化は常に若者によって作られるのであり、子供達の生活の様子を見ると、未来の生活からインターネットを切り離すことはもはや不可能だということである。時代は常に前に進み、引き返すことはできない。

 

映画『マトリックス』では、大半の人間がコンピュータの動力源として培養されている。あの映画はフィクションであるが、見方によっては現代社会も映画の状況と大して差はないのかもしれない。コンピュータと一体化した僕たち……。

 

マトリックス (字幕版)
 

 

例えば、宇宙人が地球を支配するためにやって来たとして、個別の人間と接触するよりは、まずはコンピュータと接触したほうが侵略が容易く進むと彼らは考える気がする。

 

 

 

ハルタが目覚めたので、夕飯の調理に取り掛かった。

 

僕が作れる料理は少ない。この日の夕飯は焼きそばである。ちょっと味が濃い目の焼きそばをハルタと分け合って食べた。

 

「おいちい」とハルタ。「パパもおいちい?」と聞いてきた。「うん、おいしいよ」

 

僕は『夕方の三十分』という詩を思い出した。作者は黒田三郎。『夕方の三十分』は作者が小さな娘、ユリとの生活を綴った詩集『小さなユリと』に収録されている。僕が大好きな詩である。

 

詩集 小さなユリと

詩集 小さなユリと

 

 

コンロから御飯をおろす

卵を割ってかきまぜる

合間にウィスキイをひと口飲む

折り紙で赤い鶴を折る

ネギを切る

一畳に足りない台所につっ立ったままで

夕方の三十分

 

僕は腕のいい女中で

酒飲みで

オトーチャマ

小さなユリのご機嫌とりまで

いっぺんにやらなきゃならん

半日他人の家で暮したので

小さなユリはいっぺんにいろんなことを言う

 

「ホンヨンデェ オトーチャマ」

「コノヒモホドイテェ オトーチャマ」

「ココハサミデキッテェ オトーチャマ」

卵焼きをかえそうと

一心不乱のところに

あわててユリが駈けこんでくる

「オシッコデルノー オトーチャマ」

だんだん僕は不機嫌になってくる

味の素をひとさじ

フライパンをゆすり

ウィスキイをがぶりとひと口

だんだん小さなユリも不機嫌になってくる

「ハヤクココキッテヨォ オトー」

「ハヤクー」

 

癇癪持ちの親爺が怒鳴る

「自分でしなさい 自分でェ」

癇癪持ちの娘がやりかえす

「ヨッパライ グズ ジジィ」

親爺が怒って娘のお尻を叩く

小さなユリが泣く

大きな大きな声で泣く

 

それから

やがてしずかで美しい時間が

やってくる

親爺は素直にやさしくなる

小さなユリも素直にやさしくなる

食卓に向かい合ってふたり坐る

 

 

 

 

レイにミルクをあげているとき、妻が帰ってきた。

 

彼女は僕にリンツ・チョコをお土産として買ってきてくれた。僕はこのチョコの大ファンである。結構いい値段がするが、マジで美味い。ハルタが欲しがるといけないので、台所に隠れて食べた。

 

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息子2人を風呂に入れると、布団でハルタに『ちびくろ・さんぼ』を読んでやった。この絵本は人からの貰い物。2005年に瑞雲舎が復刊したものである(本書は人種差別的表現を理由に、本書を出版していた各出版社が自主的に絶版にした過去がある)。

 

ちびくろ・さんぼ

ちびくろ・さんぼ

 

 

大人が読んでもかなり面白い。息子たちにも本好きになってほしく、こういった絵本を読み聞かせている。しかし、ハルタは『ちびくろ・さんぼ』を読み聞かせている最中にまた寝てしまった。僕の読み方がヘタだったかな。

 

お話に出てくる、主人公のさんぼの前に立ちはだかる敵である3匹のトラ達の末路に同情せずにはいられない。トラ達は、さんぼから奪った戦利品を巡って、木の周りをぐるぐると回り続け、最終的には溶けて、バターになってしまう。かわいそう。

 

……外から雨の音が聞こえた。そういえば、僕はこの頃、同じところをぐるぐると回っているような気がしてない。いろいろともがいて動いているのだけど、前進している手ごたえが得られないのだ。

 

眠気がやってきた。じわりじわりと体が溶け、雨水と混ざり合っていく。