『つみきのいえ』の話など
一応シリーズは一通り見ていて、この第42作も見たことあるのだが、相変わらず見ていて笑ったり泣いたりしちゃったな。このころは、寅さんの甥の満男が主役の位置にシフトしてきていて、寅さんは満男を支えるアドバイサー役となっている。
浪人生なのに勉強に身が入らず、しかも反抗的な満男に母・さくら、父・博は手を焼いているが、結局風来坊の伯父さんである寅さんがこの状況を救うことになる。伯父さんと甥っ子といった、こういう斜めの関係は、子供をよりよく育てるために大事な関係だということはよく知られている。この映画で満男は大きく成長する。
今作の寅さんの満男に語りかけるセリフは最高である。
俺はな、学問つうもんがないから上手いことはいえねえけども、博が俺にこう言ってくれたぞ。
自分を醜いと知った人間は決してもう、醜くねえって……
自身のことを「根無し草」と例える寅さんだが、しっかり根を張っている。葛飾にあのような温かい帰れる場所、大切な人の思い出が詰まっている場所があるからこそ、寅さんは自由気ままに旅を続けられるのだ。
僕の弟は 『男はつらいよ』の熱狂的なファン。『お帰り寅さん』の公開前、弟に「『お帰り寅さん』楽しみだな」とLINEにメッセージを送ったら、「全然興味ない」という返事とともに、以下の弟宅にあるトイレの扉の画像が送られてきた。
『お帰り寅さん』は予告編と以下のあらすじだけで泣けちゃったなあ。
諏訪満男は小説家になった。中学3年生の娘と二人で暮らしている。最近作は好評だが、次回作の執筆ははかどらない。最近、夢の中に初恋の人・イズミが現れるなど悩みは尽きない。そんな折、満男は妻の七回忌の法要で柴又の実家を訪れる。柴又の帝釈天の参道にあった「くるまや」はカフェに生まれ変わっていた。法事のあと、母・さくら、父・博たちと昔話に花が咲く。そして寅さんたちとの楽しかった日々を思い出す…。
『お帰り寅さん』、見に行くのが楽しみである。
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『つみきのいえ』や『男はつらいよ ぼくの伯父さん』を見ているときも考えていたのですが、周囲の人とちゃんと向き合って、関係を深めていくことって本当に大事なことだよなあ。近頃そればっかり考えてる。僕はかなりの面倒くさがりなので、人付き合いは昔から避けがちなのですが……。
教育関係者としては、今どきの子供はコミュニケーションが上手にとれないと嘆くのではなく、コミュニケーション能力は、教え、習得させるものであると発想を転換して、「人とつながりたい」「つながって楽しい」と自然に思える場を意識的に設計していかなくてはならないと考えています。