『さよならミニスカート』が面白い
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「りぼん」で連載している『さよならミニスカート』(牧野あおい)が面白いと聞いたので、本屋に買いに行った。
少女漫画の棚を15分ほど探したが、見当たらない。そのうち、女の子がちらほら棚の前にやってきて、棚の前をうろうろしている自分が恥ずかしくなってきた。「娘が欲しがっている漫画がないなあ」とかつぶやこうと思ったが、余計怪しさが増す気がしたのでやめた。
購入をあきらめようかと思ったそのとき、やっと見つけた。『さよならミニスカート』は人気作のようで、平積みにされていた。まだ1巻しか売られていない。
帯には「このまんがに、無関心な女子はいても、無関係な女子はいない。」とあった。
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主人公は、女子高生の神山仁那。彼女は通う高校で唯一スラックスで通学している女子である。言葉遣いも粗暴で、一匹狼である。
そんな彼女には秘密があった。
仁那は、ミニスカートを売りにした人気アイドルグループ「PURE CLUB」の元センター、雨宮花恋であったのだ。
彼女はアイドル時代の象徴でミニスカートを履くことをやめ、長い髪をバッサリと切り、「普通の」高校生として生活している。
彼女がアイドルグループを脱退した原因は、ファンとの握手会での傷害事件である。被害者であるはずの彼女は、「そんなに弱くてどうする」だとか「女使って男釣って儲けてるんだから恨み買われて当然」だとかいった心のない言葉を受け、心身ともに傷つき、「女の子」をやめてしまったのであった。
第1話のハイライトは、教室で「スカートなんて男に媚び売るために履いてる」と発言する男子生徒に仁那が怒るシーンである。
スカートは あんたらみたいな男のために履いてんじゃねえよ
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続く第2話、第3話でも衝撃的な展開が続き、ぐいぐいと物語に引き込まれる。
この作品の魅力は、近年急激に関心が高まっているジェンダー問題を積極的に取り上げ、漫画に落とし込んでいる点にある。ジェンダーレス的存在の仁那を中心としたな高校生の日常生活から、現代における社会上の性差に対する固定観念、無意識、無関心といった問題があぶりだされていく。自身もジェンダー問題への無教養から、これまで知らず知らずのうちに誰かを傷つけてきたのではないかという気持ちにさせられる。
……ずしりと重いテーマを扱いながらも、エンターテインメントとしてもかなり楽しめ、なにより、少女漫画らしいピュアなラブストーリーが丁寧に描かれている。仁那の「まっすぐ」で、そして「危険」な恋に、ハラハラ、ドキドキ、キュンキュンせずにはいられない。
今最も人にお勧めしたい漫画です! 第2巻の発売が待ち遠しい!!