ゴロネ読書退屈日記

ゴロネ。読書ブログを目指している雑記ブログ。2人の息子とじゃれ合うことが趣味。

5歳に言葉を教える話

 

「ばかばかしい」が、5歳息子の近頃の口癖である。

 

「パパってホント、ばかばかしいよね」なぞと言ってくる。「“ばかばかしい”って意味わかってんの」と聞くと、「しってる。くだらないって、いみでしょ」と答える。「何を愚問を」というふうな口ぶりである。もうこいつは赤ん坊ではないなと僕は思った。

 

 

今年度は僕が息子を保育園に送り届けている。毎朝バタバタ、気分はもう戦争。出発予定時刻を過ぎると、焦り、「パパ遅刻しちゃうよー。早く準備してくれー。頼むー」とのんびりしている息子に懇願するが、「パパ、ばかばかしい」とお決まりの返事。先日の朝なぞ、玄関から出た途端、息子が突然「うちのパパは、ばかばかしいしでーす!!」と叫んだ。近所迷惑。

 

 

この頃、この「ばかばかしい」に辟易していた僕は、「“ばかばかしい”みたいに、“い”で終わるのは、形容詞って言葉の種類だぜ」と息子に言ってみた。すると、今度は「〇〇って、けいようし?」と聞いてくるのが息子の口癖になった。

 

「“からい“って、けいようし?」「形容詞」「“ほしい”は?」「形容詞」「“たのしい”は?」「形容詞」「“たくしい“は?」「たくしい? あ、“タクシー”ね。それは名詞」「めいし、てなに?」

 

また難儀な質問である。「モノやコトについている名前だね。で、“が”とか“は”が後ろにくっつけられる。“机”とか“肉まん”とか“ジバニャン”とか」「ミッキーは?」「ミッキーも、ミニーも、プルートも、バズ・ライトイヤーもみんな名詞!!」

 

 

全国の5歳児はだいたいこんな感じなのかもしれないが、息子は新しい言葉への関心がかなり強く、新しい言葉を耳にするたびにその言葉の意味を聞いてくる。主に朝、保育園に行く前に視聴している「めざましテレビ」で、言葉を“発見”している。

 

この前の朝は、台所で保育園の給食セットの用意をしていると、「パパ、“ぶり”ってどういういみ?」と聞いてきた。「おならの音でしょ」「ちがうよ! 3ねん“ぶり”とか、ひさし“ぶり”についてる“ぶり”」

 

言葉についての質問をされたときには、なるべくその場で5歳児にもわかるような言葉を駆使して答えるようにしているが、即答できないときには、小学館の『例解学習国語辞典』を引くようになった。

 

ぶり[振り]接尾 ①物ごとのようすや状態などの意味を表す。(例)ゆたかな生活ぶり。話ぶり。②時間がたったことを表す。(例)十年ぶり。ひさしぶり

 

しかし、国語辞典に書かれた通りに説明しても、まだ5歳児には伝わらない。それをまた限界まで噛み砕き、説明する。しかし、それでも伝わらないことも多々あるのであった。

 

息子の国語の力の成長につながるかもと思って、言葉の質問には真摯に相対しているが、案外、幼児にわかるように説明をするってのは、自身の国語も鍛えられている気がする。

 

野矢茂樹の『大人のための国語ゼミ』の冒頭に、相手に伝わる分かりやすい話し方や書き方ができるようになるには、「相手のことを考えて話し、相手のことを考えて書」かなくてはならないと書かれていた。当たり前のことではあるが、大事なことである。

 

 

 自分の言葉が相手に理解されているかどうかについて鋭敏な感覚をもち、理解されていないことを嫌がらずに謙虚に受け止め、理解してもらうにはどうすればよいかを本気で考える。何度も何度も、そんな経験を繰り返さねばならない。

 

 

今度息子と漢字検定を受けに行きます。僕が2級で、彼が10級。